【料理之神】発動

 ギルドマスターとの話を終えたら、みんなが解体してくれたワイバーンの肉やらを使って炎の料理人と化していた。

 いつもだったら腕が痛くなったりするけれど、全然痛くない。途中で味見をしたりしたけれど、いつもより数十倍美味しく感じられた。


(もしかして僕のスキルの一つが影響してるのかな……。あ、そうだ! 【鑑定】!)


 手にしたスキルの一つを使ってみた。


――――――――――


 ワイバーン肉の特製ダレステーキ(【料理之神】発動)

 製作者:ライト


 効果:【身体能力大幅向上(1時間)】【攻撃力3倍(30分】


――――――――――


 うーん……。なんか凄いことになってないかな?


「僕は何もみていない……うん、見てないヨ」


 一人でボソッとそう呟き、【鑑定】するのをやめた。ただひたすらに、手だけを動かして料理を作った。



###



「料理完成したよ〜!」

「「「「「うおぉぉーーッ!!!」」」」」


 ほかの冒険者さんたちにも手伝ってもらい、ギルドの中央にある大きなテーブルに料理を運ぶ。

 ここにいたみんなが、飢えた獣の様に僕の料理に食らいつく。……だが、一口料理を口に入れるとボロボロと涙をこぼし始めていた。


「えっ!? お、美味しくなかったかな……」

「チッガァァウッ!! 美味すぎるんだ……天に召される勢いだぜ……」

「こんなな美味いのを食べたのは初めて……」

「また腕を上げやがって……」


 と、取り敢えず不味くはなかったらしいからオッケーかな?

 これも【料理之神】っていうスキルの影響らしい。


「おっと、ちょっとトイレ行くぜ」


 料理を食べていた人がトイレに向かうべく、扉を開けようとしたその瞬間――バキッという音が鳴った。


「え……?」


 顔を向けると、ドアを軽々しく破壊している姿が見えた。


(……あ、これって料理にかかってたバフのせいじゃ……)


 だらだらと汗が噴き出す。


「す、すまァーーんッ! なんでか力がみなぎっちまってよぉ!」


 もう二度もこのようなことが起きないようにみんなに話すと、みんな目をギラギラとさせて僕を見てきた。

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