優しい人ら
「ゔ……なんか体がだるいな……」
チュンチュンと小鳥の囀りを聞きながら、むくりと起き上がる。
昨日の夜中、なぜか猛烈に体が疼いて熱くなっていたのだ。多分体温が40度超えてたと思うってくらい熱かったと思う。
「……ミアはまだ寝て――はッ!!?」
竜の姿で寝ているんだろうなーと思って横を見ると、なぜな一糸纏わない姿のミアがすやすやと眠っていた。
「うわァーーッ!!」
「んん……ライトぉはよ……? どうしたの〜?」
目をぐしぐしとこすりながら起き上がるミア。僕は慌ててベッドから降り、姿を見ないように目を両手で隠す。
「おはようミア! そしてなんで服を着ていないんだっ!」
「えー、だって、いつも着てなかったから違和感があって……」
「その姿では服着ないといけませんッ!!」
「はぁい」
寝起きでポワポワしながらも、脱ぎ散らかしていた服を着はじめた。
ミアの服も買ってあげないとな……。
「ライトくんおっは〜。さっそくだけど朝ごはんの手伝いヨロ!」
「アーリャさんおはようございます。今行きます」
バァンと音を立てて僕の部屋にアーリャさんが侵入してきた。
「ふふっ、ミアちゃんとは何かあったのかネ?」
「えっ? いや、何も……」
……さっきのは、『何か』のうちに入るのか?
「えっ!? 本当ににかあったの!?」
「ないですないです! さぁ朝ごはんを作りましょう! 手塩にかけて作りますよ!!」
「詳しくはミアちゃんに聞こうかしらね〜♪」
朝ごはんの手伝いをちゃちゃっと終わらせて、アーリャさんから言及される前に、逃げるように冒険者ギルドに向かうのであった。
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「うーん……。今までは一人分だったけどミアも増えるからもっとお金を稼がないとなぁ」
「時と場合によって姿変えるとかは?」
「いや、それはちょっとダメかなぁって」
「ライトは真面目だよねー!」
依頼の紙が貼り出されてはるクエストボードの前で唸る。
(FランクからEランクに上がるためには依頼をこなすことが必要。でもEランクからDランクに上がるには討伐クエストを三つ受ける必要がある。……受けてみようかな)
僕はいつもとっている薬草採取のクエストと、ゴブリン四体の討伐クエストの紙を手に取った。
すると、後ろからケラケラと笑う声が聞こえてきた。
「おいおいライトよ〜。女引き連れてゴブリン討伐クエ行くのか〜?」
「ゴルスさん」
このチャラチャラとしている人はCランク冒険者のゴルスさん。
勘違いされやすいけど、この人は――
「ライト、お前病み上がりなんだろ。あと無理にランクを上げようとしなくてもいいんだぜ? みんなお前の成長を応援しているが、無理だけはしてほしくないと思ってるんだ」
そう、めちゃくちゃ優しい。
なんでそんなチャラい格好をしているのかと聞いたら、『かっこいいから?』と疑問形で返してきたのだ。
「ありがとうございます! でも今ならいける気がするので頑張ってみます。無理だけはしないので」
「おお……成長したなぁ」
カウンターに行き、依頼を受ける。
優しいみんなから応援されながら、僕はギルドを後にした。
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