6.寝てる間にモンスター狩りできるようになりました
アルトは昼食を済ませて毒ラビット狩りを再開する。
毒ラビットが好む野菜をエサとして少し離れたところに置いてから、適当な場所に敷物を広げて寝転がる。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
<条件練習>
If 毒ラビットが現れたら
アイスニードル
end If
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ファイヤーボールだと一体倒した後に焦げた臭いで警戒されると思ったので、水氷魔法に書き換えていた。
「(条件練習)起動」
テキストを起動する。
これで、後は毒ラビットが寄ってくるのを待つだけだ。
昼食を食べた後で、ちょうど眠い頃合いだった。
ちょうど木の間から差してくる太陽の光が心地よく感じられる。
寝ている間もテキストが発動し続けるので、毒ラビットがいる森でも安心である。
「さて、楽しみだな」
そうしてアルトは危険な森の間で瞼を閉じた。
†
結局アルトは一時間ほど眠っていた。
瞼を開けて、どんなもんかなと周囲を確認すると――そこには想定外の成果があった。
「おお!! めちゃくちゃ倒してる!!」
寝てただけなのに、あたりには十体ほどの毒ラビットが倒れていた。
アルトは倒れた毒ラビットから、駆除の証になる毒石を取り出す。
「これで、いろいろなバイトができそうだな」
意識しなくていいのだから、寝てる間だって仕事ができる。
例えば魔石の仕分けとかならいつだってできるだろう。
「そうだ……! 鑑定魔法を自動発動し続けて薬草を見つけたら知らせてくれるようにすれば、採集がめちゃくちゃ捗るんじゃ?」
採集は雑用係の仕事だが、鑑定魔法を使っていちいちその結果を確認しながら進まないといけないので、結構手間がかかる仕事だった。
今までのオートマジックでは、鑑定魔法を自動で発動するのはいいが、結局確認する手間があった。
でも条件分岐を覚えた今なら、目的の薬草を発見した時だけ自動で知らせてくれるようにすれば高速で採取を進められる。
ついでに歩き回りながら、ラビットも倒していけるはずだ。
「よし……さっそく試してみよう!!」
†
それからアルトは夕暮れまで森の中を探索し続けた。
その結果。
「……まさかこんなに取れるなんて」
ラビットをいつも通り狩りながら、同時に有用な薬草もかなりの数が取れた。
鑑定魔法を連打して、ヒットした時だけ知らせてくれるようになったので、超高効率で採集を行うことができたのだ。
結果、持ってきたかごに入りきらないほどの薬草、それに五十体以上のラビットを狩ることができた。
「……これで結構なお金になりそうだな」
アルトはウキウキしながら、街へ戻った。
毒ラビットの駆除クエストを受注したギルドへと成果を報告しに行く。
「え、こ、こんなに!?」
アルトが差し出した袋いっぱいの毒石を見て、受付のお姉さんは目を見開いた。
「今まで換金せずに持っていたとか?」
「いえ、今日取りました。今日はスキルがレベルアップしてはかどって」
「しかし、それにしても……こんなに? 一日でこんなに駆除するなんて聞いたことないです」
受付のお姉さんはかなり驚いた様子だったが、アルトの成果はそれだけではなかった。
「後、薬草の換金もお願いできますか? 結構あるんですが」
そう言って、アルトは背負っていた籠をカウンターに置く。
「え!? 今日薬草も採集してきたんですか!?」
「ええ、まぁ」
「って、しかもどれも見つけるのがめちゃくちゃ大変なやつばっかりじゃないですか!? このマレ草なんて、近くにいても鑑定魔法を10回はかけないと見つからないのに」
「いやぁ、たまたまです……」
アルトは適当にそう言ってごまかす。
「たまたまって……」
お姉さんは終始驚いた表情のまま、大量の薬草を鑑定してくれた。
結果、アルトはギルドでの数日分の稼ぎをたった一日で得ることができた。
「ギルドなんてやめちゃって、採集を本業にしたほうがいいのでは?」
お姉さんはそんなことを言ってくれる。
「はは。採集も結構楽しいのでアリですね」
†
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