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 僕は左の道を進んでいった。すると程なく再び分岐点が見えてくる。しかも今度は左右に加え、直進する道もある。


 奥へ行けば行くほど道は複雑になってくるなぁ。


「ミューリエ、次はどの方向へ進もうか?」


「その選択はアレスに任せる。それよりも気になることがあるのだが……」


「ん? 気になることってなぁに?」


「アレスは帰り道が分かっているのか? もちろん、今はまだ洞窟に入ったばかりゆえ、道を記憶しているだろう。だが、このまま奥へ進んでいったら記憶力の限界を超えたり勘違いをしたりして、分からなくなるやもしれぬぞ?」


「っ!」


 僕の心臓がバクンと大きく跳ねたあと、激しく脈動を始めた。しかも焦る気持ちからなのか、全身に冷や汗が滲んで少し寒気がする。




 ――しまった! ミューリエの言う通りだ。


 初めての洞窟探索ということで緊張しちゃって、先へ進むことで頭がいっぱいだった。だから帰る時のことまで気が回らなかった。


 目印を定期的に壁に付けるとか、パンくずみたいな何かを落としながら歩くとか、通った場所を示す工夫をするべきだった。



 どうしよう、今まで分かれ道が何か所かあったような気がするけど明確には覚えていない。



●道が分かっている振りをして勘で進む……→58へ

https://kakuyomu.jp/works/16816927860513437743/episodes/16816927860516434748


●道が分からないと正直に言う……→9へ

https://kakuyomu.jp/works/16816927860513437743/episodes/16816927860514163940


 

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