第3話 C チェーン

心霊スポットに行ったんだよ。男3人連れだってな。


そこは誰も住んでいない廃アパート。まだネットにも載っていないような新しいスポットだ。新しいだけに、そこの因縁話は3人とも知っていた。貧困にあえぐ女性が亡くなったという話だ。このご時世に餓死だったということで、新聞にも小さく載っていた。


アパートは木造の2階建て、計6部屋。出ると言われるのは2回の奥の部屋だった。

1階から順に中を覗いていく。ドアを開けるたびにギイィっと蝶番のきしむ音がして、暗い雰囲気に拍車をかける。101、102、103。1階は特に何もない。


崩れ落ちそうな階段を、錆びた手すりに掴まりながら2階へ。201、202。こちらも何もなし。


問題の203。今までの部屋の様子から、俺たちはただ怖い雰囲気を楽しむアトラクション程度に感じていた。

今までの部屋と同様に、ドアノブに手をかける。ガチャ、ギイィ、ガタ。なんだ?鍵はかかっていない。その証拠に扉は数センチ隙間が空いている。

なんだ?俺たちが疑問に思っていると、原因が分かった。なぜか、この扉だけチェーンがかかっているんだ。

肝心の部屋に入れなかったのを残念がりながら、俺たちは帰路に就いた。


でも、何かおかしかったんだ。ドアを開けた奴は、チェーンだったら音とかしないか?と言い出した。確かに、チャリ、とかガチャ、とか金属音がするだろう。

それが全くなかったんだ。

それともう一つ。真っ黒なチェーンなんてあるか?


ファミレスに車を停め、3人は同じ結論を出した。


あれはチェーンじゃない。髪の毛だ、ってね。

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