私の周りには、変態百合ガールばかり。

湯藤あゆ

1

茉奈まな!!おっぱい触らせてっ♡」

「あら、村木さん、戸倉さんは今私が吸っておりますのっ♡はふぅ……♡」

「ちょっと2人とも、ず、ずるいよ、私にも太もも触らせて、舐めさせて♡」

聞いて驚く勿れ。

授業中だ。


女子校では価値観がバグって女の子同士のスキンシップがどんどん過激になってしまう、という話を聞いたことがある。もっとも、他のクラスの友人はみんなそれは嘘だと口を揃えて言うのだが、私のいるクラスでは、「え?当たり前でしょ?」と言わんばかりに、女子同士で乳繰り合っているのだ。

そして私は、そんないやらしい思いは微塵も抱いていないのに、3人のド変態に匂いを嗅がれ、胸を揉まれ、太ももを舐められている。しかも、その行為は先生に見咎められることなく、至極当然のように行われているのだ。

「まだ若いからね〜」じゃなくて!!!


「茉奈?放課後、私に……おっぱい、ちょうだい?」

そう話しかけてきたのは、村木智絵里むらきちえり。肩にかかる程度の黒髪に、パッチリとした二重の目元。背丈はそれほど高くないが、スタイルはかなり良い方だと思う。

彼女はこのクラスでは人気者なのだが、私の前ではおっぱい大好きのド変態。休み時間になる度に、私の周りにやってきては、いかにおっぱいが素晴らしいか力説してくるのだ。

「え、えと今日の放課後は……」

「私に髪の匂いを嗅がせてくださる約束ですので、また明日おいでくださいまし♡くんくん♡今日も柔らかい香りですねぇ、戸倉さんっ♡♡」

上品な言葉遣いだが、異様に変態じみた返しが聞こえてくる。茨木愛生いばらきあきだ。と、いうか、そんな約束していない。

「嘘つかないでよ……」

「ふふ、冗談でしてよ」

手の甲で口を押さえて笑う。こっちも笑っちゃうほど上品だ。

彼女は大企業の令嬢で、亜麻色の髪をツーサイドアップにまとめた、人形のような顔立ちをしている美少女である。

彼女の場合、ただ可愛いだけではない。お嬢様らしく、振る舞いはおしとやかに見えて実はドスケベなのだ。高校生にしては発育も良く、体育の授業の時など、彼女が着替えているところを偶然見てしまえば、一瞬にして虜になってしまうだろう。

「あ、あの2人とも、もしよかったら、茉奈の太もも、触らせてほしいんだけど」

太ももフェチ・佐伯希乃さえききのが近づいてきた。彼女は少し長めの茶髪で、一見するとギャルっぽい見た目であるが、中身は意外と落ち着いていて、少し臆病な印象さえ受ける。しかし、やはりかなり性に好奇心旺盛で、いつも私の太ももを愛玩してやまない。

彼女の特筆すべきところはその徹底したフェティシズム。触ったり眺めたりするにとどまらず、顔を埋めたり、舐め回したり、写真に収めたり……嬉しくもないのだけど、かなり「極めて」いるのだ。

「えっと……その……ごめんなさい、私、ちょっと今日は……予定が……」

3人から逃れるために、私は咄嵯に嘘をつくことにした。もちろん、3人はそれで納得するはずもなく、更に食い下がってくる。

「えー!なんで!?私たちに何か悪いことしたかなぁ?」

「まさかとは思いますけど、この私を差し置いて他の女とデートでもなさるつもりですの?」

「そ、そういうわけじゃないんですけど……」

「なら、べ、べつにいいじゃん!」

「仕方ない、3人で力合わせて、組み敷いちゃおう!」

「あら、それは名案ですわね?」

ち、ちょっと!?何言ってんのよあんたら!!

「あっちょっ、ちょっと待って、ぇ!」

抵抗虚しく、私は床に押し倒されてしまう。両手首を掴まれて押さえつけられ、足を広げられてしまった。

「いただきますっ♡れろっ……」

足の付け根に、希乃の舌が絡みつく。

「ま、まって……お願いだから……ひゃうんッ♡」

「すごい、足ガクガクしてるっ♡興奮してくれてるんだね♡嬉しいな♡れろぉ〜……ちゅぷ……れるぅ……♡」

「やめて……そんな……舐めないで……♡くすぐった……ぃ……♡」

「では、私も失礼いたします……♡」

「きゃ……!」

「こっちも、頂きます……♡くん、くん……♡」

髪の毛にこそばゆい感覚が走る。愛生が匂いを吸っているのだ。

「はぁ……♡戸倉さんの香り……たまりませんわ……♡くん、……すぅぅぅっっ……♡」

「うふふ、私はお乳欲しいでちゅー♡ばぶー♡」

胸に智絵里の手が触れる。不規則な動きに身体が捩れる。

「あ、あ……だめ……そこは……っ」

「ここ、弱いんでしょ?知ってるよ?ほら、こうやって……くり、くり……♡」

ブラ越しに乳首を押し付けられてしまう。

「や、……やめ……あ……、ああ……っ」

「うへへ、可愛い声出しちゃって、もう、感じすぎだよ〜♡」

「あ、あ、あ、あ、あ、♡」

胸からピリついた刺激を感じる。

周囲は、「なんだ、またか」「仲良いね〜」「悪戯もほどほどにしたほーがいいんじゃないのー」と無関心な冷やかしや傍観ばかりで誰も驚いたり恥ずかしがったりはしない。

「ちゅ、ちゅー♡」

「ぁあ、ぁ」

「甘い匂いっ♡次は腋を失礼します……すぅっ」

「ぁ、あっふ……♡」

※みんながいる教室での出来事です。

「ほーんと、柔らかいよねぇ、茉奈のおっぱい♡」

「やぁんっ!だ、ダメだってぇ……」

「うちもものおにく、つまんでみたらぷりぷりしてておいしそー、だね♡はむぅっ♡」

「んっ♡」

※みんながいる教室での出来事です。

「あぁ、……戸倉さん特有の芳醇なエキスが漂って、それがほんのり汗の匂いと融け合う……たまらない薫りです……♡」

「や、やめ……、」

「もっと嗅がせて下さいまし、はぁ、はぁ……♡くん、くん……」

「ぁ、ぁ、ぁ、ぁ、……」

※みんながいる教室での出来事です。

「あ、先生が来たよ」

「ちぇ、席に戻ろっか」


こんな具合だから、学校にいる間中ドキドキしっぱなしだ。授業の内容なんて全然頭に入って来ない。

私はこの学園に来て以来──とはいえまだ一ヶ月と半分くらいだが──毎日のように3人に玩具にされているのだった。

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