あんたがコスプレしただけでキャラのチート能力を使えるのは、私のおかげ!
つきがし ちの
第1話 閉じ込められました、誰かDLしてください
「出せーここからだせええええ!!!」
私はどこまで行っても地面以外何もない暗闇の中で、大声で怒鳴った。
やらかした。
不覚にも人間に召喚されてしまった。
本当にあっという間の出来事だった。
私はいつも通り住処の花畑で、のーんびり食事をしていたのだ。
その時急に周りが光ったと思ったら、いつの間にか薄暗い部屋の中にいて、
人間に体を掴まれ、ヒョイっとこの空間の中に放り込まれてしまった。
「くそぅ…この私がこんなあっけなく捕まるなんてー!」
あまりにも悔しすぎて、
真っ暗で何もない無音の空間で私は手足をジタバタさせて叫ぶ
「暗いよー!無駄に広いよー!さみしいよー!本当に誰かいないのー!?
せめて閉じ込めるなら、その辺りの説明をちゃんとしなさいよ!!」
誰も返事するはずのないその空間で叫び続ける。
それに疲れて、地面にへたり込んだ頃、
目の前に大きめの四角の光が現れた。
何かの映像らしい。
一瞬、突然の光に目が慣れず目が眩んだけど、
徐々に慣れてきてきた。
目が慣れて画面を見てみると、そこには人が映し出されていた。
「あー!あんた!」
そこに映ったのは、私をここに閉じ込めた婆さんだ。
召喚された直後に、一瞬しか見えなかったけど
この特徴のある鼻は間違いない。
「お元気かい、妖精のお嬢さん?」
「お元気なもんか!あんた誰なのよ!!」
私はこの際だと言わんばかりに婆さんに怒鳴る。
すると婆さんは私の怒りなど屁でもないかのように、素敵に笑って
「私の名前は大山馬場子、魔女さ。」
と自己紹介する。
私はその名前を聞いてクスクス笑う。
「何その名前、略したら「おばば」じゃん、「おばば」」
「私のことは好きに呼びといい。
そんなことより魔女の方に食いついてほしいね。」
「あいあい、たまに魔力持ってる人間もいるから別に驚かないよ。
なんでもいいけど、魔女だってんならさ、こっから出してよ!
閉じ込めることができたんだから、簡単にできるでしょ?」
私はおばばにそう詰め寄る。
しかし、おばばは首を横に振って私の要望に応えようとはしな買った。
「だめだよ、あんたにゃやってもらわなきゃなんないことがある。」
それも、かなり強めに拒否。
「はぁ?やってほしいこと?
だったらもっと丁重にお願いしてくんない?
こんな方法で頼まれても、あたしゃなんの手伝いもしないよ」
こんな手荒な方法で頼まれたって、なんも協力する気にはならない。
魔法が使える妖精だからって、足元見られたらたまんないんだから。
しかしおばばはニヤニヤするだで、話を続ける。
「いいんだよ、あんたは時が来るまでそこにいるだけでいいんだから。」
「はぁ?やって欲しいことがあるとか言っといて、ここにいるだけでいいとか…
意味わかんないんですけど。」
…私に何かして欲しいというわけじゃないなら何が目的なのか。
ダンスでも踊ればいいのか?
それでここから出してくれるなら好きなだけ踊りますけど。
私はおばばが説明するのを待った。
「まぁまぁ、時間はたくさんあるんだから慌てなさんな。
そうさね…どこから話そうか…
私はね、コスプレ衣装の店をやってるんだ。
でもまぁ繁盛しなくてね」
しかし、始まったのはくだらない身の上話。
ここに閉じ込められてる話が関係あるとは思えない。
そんな話に付き合ってるつもりはない。
「それがなんだってのよ、あんたの店が私となんの関係があんの?」
「せっかちだね、話は最後までお聞き!」
私がおばばに突っかかると、逆に怒られてしまった。
それに少しびっくりして黙ると、それを確認してからおばばはまた話し始める。
すると、おばばは私にこんな質問を投げかけてきた。
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