最初の信号

火星から地球へ向けて、発信された最初の信号が受信される。

"おい、返事をしろ"火星からの信号をキャッチしている その信号は火星側からの電波のようだった。


"聞こえるか?応答せよ


地球へ送るメッセージを聞いている者は誰かいないのか

"私の娘が、この地球に残された人類の一人だったのだ

そしてこの火星とつながるシステムが地球側の誰かの耳に届き、地球側に存在する人類の脳が、このメッセージを受け取ったに違いない。


"おい 火星にいる地球出身の知性体はいるか。

そちらの送信装置を使えるものは誰か"


"こちら テラ・フォーミング技術研究室室長です あなたは火星の学者ですか?"


火星にも地球と同じように研究設備が存在する。


地球が火星のシステムをハッキングし火星にある機械を利用しようとした時に偶然発見されたものだった。


「地球は20年後に滅びてしまう」


"え、今なんと?"


私は、火星で地球の危機的状況を知らせようと努力をした。


しかし火星は、まだ人間が住める環境ではなかったのだ。


"どうなっているのでしょうか"


その時 火星で私を導いてくれた人工知能から、地球からの緊急信号が届いた。


その信号が火星まで届くと同時に地球との連絡は途絶えることになった

「あなた」

「母さんか」

俺は、母さんとの離婚届に判を押して受理して貰った後 一人で火星に来ていた 俺は地球に残ることを選べなかった。


火星から送られてくるメッセージを読むうちに、自分が何をすべきなのかを理解してしまったからだ。


火星が地球を見捨てる。


俺は火星と地球を繋ぐネットワークを構築し、火星と地球との両方で同じ内容を共有することを計画した


火星が地球と直接コミュニケーションを取ることはできない。


しかし火星と地球を結ぶ経路上に中継点を設置すれば火星からも地球へ情報を送信することはできるはずだ。


"あなた。

私はあなたのことが好きです。"


"マーサ 俺は君のことをよく知らなかったが 君の事はずっと知っていたんだ"


"私達の種族は火星からやって来た。

火星で進化を遂げた生命体をベースに、地球上のあらゆる生物のデータを採取し合成することによって作り出された生命体だ。"


"それがどうしたんだ?だからどうしたというんだ!"


"地球上のあらゆる生物のデータを採取するために生み出された私たちの種族にとって、地球の大地に足をつけて生きていくことは本能だった。"


火星と地球を結ぶ回線が構築されていくと火星と地球の交流が可能になっていった。


"私達の祖先はこの地球上から、自らの肉体を捨てて逃げ出した"


"何だって?どういうことだ!?"


火星で生まれた生命は地球では生存することができない"


地球では遺伝子レベルから調整されていない生粋の地球産人間は生きることができないのだ"


それじゃ火星からやってきたおまえたちは何なんだってんだよ"


"火星で進化した私たちは、地球の環境でも生きられる体を持つことができた"


"しかし、火星で生きていた火星の動物たちが突然変異を起こし地球上に適応できるような変異が起きた"


"つまり 火星では普通の動植物なのに、地球の土を踏んだら毒ガスみたいなもので死ぬってことか?"


"火星からやってきた地球適応型の生命の殆どが、火星上でしか生きられないものになってしまった"


しかし、そのおかげで火星から地球へとやってくることが出来たわけだが"

私は火星で誕生した地球型生命。地球で繁殖を行い、地球環境に適応できる個体を作り出すことができる。"


しかし 火星が滅んでしまえばそれも無意味な行為になってしまう"


しかし もう地球も長くは持たないだろう。火星のネットワークを介して送られる情報によれば あと一年ほどで、地球は滅びの時を迎えるようだ"


火星のネットワークから得られた情報を元に 火星は火星からやってきて、火星で生活している者たちと交渉を試みた。


火星が滅びる運命を回避する為に、地球を救う計画を実行してもらうように説得をするのだと"


地球を救うためには、私達火星の地球化を進める必要がある。


地球と地球化した火星。

この二つが同じ惑星であることが必要なのだ。



その二つが同じ星でなければ、地球は火星と同じになることができずに死んでしまう

"それは どういう事なんだ?"


地球が火星と融合することで、地球が火星の土壌を吸収分解して火星と同一化しなくてはならない。"


"それで地球が助かるのならば"


"しかしそのためには非常に大きな犠牲が必要となる。"


"どんな代償だ?""地球と火星が接触し融合する過程で、地球上では大量の生物が生まれ死にゆく"


"その犠牲者のほとんど全てが地球から逃げ出すために火星へ移住したものたちの子孫だという"


"なあ、どうして地球の奴らが逃げなくちゃならないんだよ"


火星から地球へ逃げる必要はないじゃないか。


その必要があれば火星から地球へ逃げたとしても文句を言うやつはいないんじゃないか。

"火星に移住した地球の生き物が、地球の環境に耐えられず死んでいくという情報が流れれば、火星人は移住を考え直してくれる可能性がある。そう考えて火星に地球からやってくる生命体に情報を伝える役割を持つものが必要だ"


その情報伝達係に選ばれたのは俺の妻であるマーサだった


"私の娘にそんな重大な使命を与えるなんて あんまりよ"しかし火星に住まう生命体が地球を脱出しても すぐに滅びることはないのだ"


20年後には火星と地球は同一化して 一つの天体となるのだ。


それまでに地球上の生物を全て処分できればいいのだが"


そして俺はマーサを説得し火星に向かうことになる。火星へ向かうための宇宙ロケットの手配を頼むと火星からのメッセージが地球へ送られた


"あなた このメッセージは一体"


"私の息子、地球での最後の人類だ。

彼だけは地球へ置いていくことにした。

20年間 私が地球からいなくなった後に人類を存続させることができる唯一の希望だ


"私は そのメッセージを地球に届かせ、地球で人類最後の生き残りとなっていた彼の元へと向かった"

君は火星に行くのか?"

"俺は行く。”

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