どなたか王様の秘書セバスチャンを知りませんか?

蜜柑缶

第1話 プロローグ

 暗雲立ち込めていた空が一気に晴れていくような最悪な気分だ。

 

 目の前には若く血気にはやった男が私を見下ろし、してやったりの満面の笑みでいる。

 

「二度と立ち上がってくるんじゃねぇぞ。」

 

 そう言い捨てる男の顔を見ていた目が霞んでいった。

 

 死ぬのか…こんな所で。

 

 まだ奴を滅ぼしていないというのに…

 

 油断していたのだ。若くか弱い兵士だと思っていたあの男に。

 

 一度は返り討ちにしてやったのに、再び力を蓄えやって来るとは。

 

 嫌だ、ここで終わりたくない。

 

 こんな所で消えて無くなりたくない。

 

 何をしてでも戻ってやる。

 

 今度こそ奴を滅ぼしてやる。

 

 ついでにあの若造も…

 

 どうすればいいのだ!

 

 誰か私を戻してくれ!どのようなものでも構わない!

 どんな虫ケラとなってでも戻ってみせる…!

 

 …光が見える。

 

 あそこへ行けばいいのか!?

 

 行ってやる!

 

 

 

 

 何だこれは…引き込まれる!?

 眩しい…目を開けていられない…

 

 

 

 

 

「初めまして、私はロージーよ。」

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