第247話 ガンマ修正版
サビーナの喉元に迫った食器の破片がすんでのところで止まった。
時が止まり、辺りに静けさが訪れる。
『シン・≪カク・ヨム≫ガンマ修正版が発動しました。現在、≪カク・ヨム≫は大幅なシステム変更に伴う不具合解消のため随時更新中です。安定運用までしばらくお待ちください』
その後、もう一つのメッセージボードが現れた。
≪現時点の修正項目概要≫
①人名の明確化のために表記仕様変更(地名、俗名等による差異化)
②使用可能種族の範囲拡大に伴う複数パターンのステータスボード拡充
③各種族に対応したステータス項目の拡充
④スキル項目の詳細ヘルプボタン設置等
そして、この二つのメッセージボードが閉じて、新たな半透明ボードが現れる。
『騎士サビーナ・ポワチエのステータスを表示します』
名前:サビーナ・ポワチエ
種族:人間
性別:女
職業:騎士(階級:副隊長)
年齢:19歳
更新数:0
星:0
PV:1
ハート:1
レビュー:1
フォロワー:1
レベル:26
状態:心神耗弱、錯乱、男性恐怖症
HP:30
MP:5(MAX15)
筋力:18
体力:17
器用:13
敏捷:18
知力:14
魔力:7
信仰心:16
こうげきりょく:25
ぼうぎょりょく:26
天賦スキル:
習得スキル:剣術C、捕縛術E、馬術E、野営知識D、料理E、指揮F
習得魔法:聖属性(治癒LV1、解毒LV1)
≪容姿描写≫
しなやかな金色の長い髪に、整った顔立ち。
今は不眠と精神状態から青ざめ、少しやつれている。
鍛えられ均整の取れた体つきに、ほどよく女性らしさが残る肢体をしている。
≪直近のプロフィール≫
ダンマルタン子爵麾下、赤狐騎士団の女騎士。若くして中部隊以下の副隊長を任されるほど有望な騎士であった。
騎士としては珍しく家名が残るポワチエ家の長女。
ゾール村の要請を受けて訪れた
同じ部隊にいた婚約者の前で凌辱され、処女を奪われた。
全身を拘束された上で、様々な辱めと暴力を受け、精神に深い傷を負った。
男性に対する恐怖心を植え付けられながらも、被虐的な倒錯した快楽を感じてしまった己を酷く恥じている。
オークたちから救ってくれた少年ロランに可愛がっていた実弟の面影を感じ、心の癒しを感じていた。
今は覆いかぶさろうとしてきた暴漢に怯え、激しく動揺している。
つい咄嗟に≪カク・ヨム≫発動させちゃったけど、どうしようか。
まずはサビーナの手から、食器の欠片を取り上げ、乱された襟元を直してやる。
片方の乳房が露わになりそうだったからね。
システム変更に伴ってのことなのか、また色々と変更があったみたいだ。
自分なりに前回発動時の記憶を思い起こしながら、相違点をチェックする。
なんか細かいボタンが色々付いたけど、今は試す余裕がないから後だな。
まあ後回しにして結局、めんどくさがってやらないのが俺クオリティなんだけどね。
家電とかも、説明書読まない派だし。
まず最初に驚いたのはサビーナの年齢だ。
あんなに大人っぽく見えたのにまだ二十歳前とか。
やはりひどい目にあわされたことの影響だろうか、年頃の娘らしい無邪気な感じが消えてしまっている。
心神耗弱、錯乱、男性恐怖症。
どうやら状態欄がレベル表記の下にきて、対象者の様々な状態が把握できるようだ。
あと目を引くのは天賦スキルだ。
≪
レア度:A
騎士でありながら聖属性魔法を得意とするジョブ系スキル。
騎士としての能力向上とそれに関連するスキルの他、回復系魔法等の習得及び行使にジョブボーナスが付く。
おお、なんかゲームの説明みたいだな。
『スキル≪カク・ヨム≫の創作タイムが始まります。10分以内で騎士サビーナ・ポワチエを改稿してください。改稿が終わったら、公開ボタンを押してください』
うわっ、項目とか情報量多すぎて、≪直近のプロフィール≫とか読む前に創作タイムが始めってしまった。
まだノープランだし、焦ってきた。
ロランは慌てて、残りの項目を流し読みし始めた。
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