第14話 夢を一つ叶える

スキル『カク・ヨム』を授かってから二月ふたつきほどがたった頃、突然、目の前に半透明のメッセージボードが浮かんだ。


『Kリワードを獲得しました。ログインして確認してください』


Kリワードってなんだよ。

意味不明だけど一応確認してみる。


「カク・ヨム、ログイン」 


目の前にダッシュボードが現れ、右上の鐘の形のマークが点滅している。

タッチするとたくさん未確認の通知が溜まっていた。

これ小まめにチェックしなきゃならないのか。

しばらくダッシュボードを確認してなかったから通知が驚くほど来てる。

けっこう、めんどくさいな。


その通知の中に「Kリワード獲得」の文字があったので展開してみる。

どうやら、ダッシュボードの左側にもKリワードの文字があり、そこからでも展開できそうだ。


総獲得PV 121

総獲得Kリワード 6


ヘルプボタンを押して説明を読むと、次のような仕組みのようだった。

スキル『カク・ヨム』で改稿した人物のPVが増えるとその数に応じて、Kリワードが与えられる。

付与されたKリワードは、1Kリワードにつき1ゴルドンで換金できる。

ただし、換金できるのは3000ゴルドンからで、獲得した日から1年以内にゴルドンに換金しなければ失効してしまうようだ。


ゴルドンはこの世界の通貨であり、1ゴルドン硬貨、10ゴルドン硬貨、100ゴルドン硬貨、500ゴルドン硬貨などの様々な単位の硬貨で持ち運びされる。


まだお金を使ったことがないので3000ゴルドンの価値は分からないが、チートなうえに金儲けまでできるってすごくないか。


ログインしたついでダッシュボードを確認してみる。


≪ダッシュボード≫

最近改稿した人物(最新5人/61人)

農民ジャン4 フォロワー:0、星:0、ハート:0、PV1

子供ニコラ2 フォロワー:0、星:0、ハート:0、PV1

行商人アホン フォロワー:0、星:0、ハート:0、PV1

農民クララ2 フォロワー:0、星:0、ハート:0、PV1

農民エンゾ フォロワー:0、星:1、ハート:0、PV1


どうやら改稿した人数も61人に達したようだ。

名前については結構いい加減で同じ職業で同じ名前だと映画のタイトルみたいにナンバリングされるようだ。


≪並び替え≫ボタンで、PV数が多い順に並び変える。


≪ダッシュボード≫

総PV獲得数(最高5人/61人)

主人公ロラン フォロワー:2、星:6、ハート:10/2、PV33

農民アキム フォロワー:1、星:3、ハート:6/2、PV14

農民アンナ フォロワー:0、星:0、ハート:4、PV9

農民ヨサック フォロワー:0、星:0、ハート:3/1、PV8

司祭ニコラ フォロワー:0、星:0、ハート:0、PV1


お、俺とアキムとヨサックにコメントがついてるぞ。

しかも俺には二個だ。


まず俺へのコメントその1。


佛田さんからの応援コメント

「この主人公クソワロタ。自分の生みの親を実験台にするとか鬼畜すぎるwww」


何だこの煽り。草まで生やしやがって。この佛田とかいう奴、むかつくな。この読者ってどこにいる何者なんだろう。


俺へのコメントその2。


ムサ兄さんからの応援コメント

「正直、似たような改稿ばかりでつまらないと思います。六歳にして、もう才能枯れたんですかね。≪プロフィール・リライト≫も同じような書き込みばかりで、語彙と発想に乏しく、光るものを感じません。はっきり言って使いこなせてないですね」


こいつ、なんで長文で腐してくるんだろう。

いるよな、こういうやる気削ること言ってくる奴。

おまえこそ、長文乙って返してやりたいわ。


佛田といい、このムサ兄とかいう野郎といい、腹立つ奴しかいないのか。


まあいい。次だ、次。


アキムへのコメント。


ダイコクさんからの応援コメント

「やっぱりこうなると思ってました。農民アキムさん、大家族記録更新がんばってください」


ヨサックへのコメント。


へるめーすさんからの応援コメント

「農民ヨサックさん、元気になってよかった。こういう人には幸せになってほしいね。木こりへの復帰も期待してるぞ」


気が付いたけどコメントやハートが付いたのは≪ステータス・リライト≫で能力値書き換えた人だけだ。


他の人には≪プロフィール・リライト≫で、「ロランを見るとお小遣いを上げたくなる」とか「ロランのお願いだと何でも聞いてしまう」とかしか書き込んでいない。

これだと、謎の読者たち的には関心が湧かないようだ。


この謎の読者たちの興味を引くことができ、PVを得られればお金がもらえれば、前世での夢を一つ叶えることができるかもしれない。


「少しでもたくさんPVを稼ぎ、家に生活費を入れてみたい」という夢を。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る