生物の習慣
バブみ道日丿宮組
お題:緑の列車 制限時間:15分
生物の習慣
バリアフリーと昔呼ばれた緑の場所は今や首がならんでる。
なぜかといえば、そこが一番敵に狙われるからだ。
「……醜いものになったものね」
「時代の変化だ。諦めろ」
諦め。車両の真ん中にしか安置がない状況。それを知らぬ人が首だけになった状態で食い殺されてる。
「昔は電車に乗るのだって危険だったんだ。そのうちどこにでも座れるさ」
彼はそういって頭を撫でてくる。座っても、立っても彼より背が低い私はされるがまま。これも時代が変われば変わってくれないものか。
「諦めろ、身長は伸びない。代わりに胸は大きくなったじゃないか」
「えぇ……おかげさまで」
誰かさんがたくさん揉みまくったおかげで胸は成長してくばかり。いや、これは子どもを迎えるという結果をこないだ知らされたからその影響だったらしい。
とはいえ、身長にそぐわない大きさではあるらしい。医者の嫉妬に塗れたセクハラはこれから向かう場所で毎日もされると思うと気が思いやられる。
同姓であるからこそ問題はないと彼も医者もいうが、されてるこっちはどっちでも変わらない。彼に触られるほうがまだましだ。
「……胸の話はいいわ」
昨夜の記憶がチラつき始めたので思考を切り替える。
「必ず生きて帰ってくるのよ? お父さんはもういないなんて伝えるのは嫌だからね」
奴らが現れた時に両親を奪ったように彼を奪われたくはない。
「それこそ、昔の話。今は対抗手段がある」
移住区を固めた防壁と奴ら嫌う習性を利用した移動手段、臭いの散布。そのおかげで移住区に飛来してくるでかい虫はいなくなった。
そうとはいっても、電車の移動途中にあるレールは完全ではない。先程から外をでかい蜂のような虫がこちらを眺めてるのがその証拠。
「いつも思うことなのだけど、なぜ真ん中だけ狙わないのかしらね」
「奴らには急所がそこにあると思う基盤がある。それを狂わせたから今こうなってる」
そう……急所を狙う。動物、生物であれば必ずすること。
一撃で相手を動かなくし、捕食する。生きるための最前事項。
「そのために臭いを真ん中部分で炊き、端っこから逃すか」
限りない白の煙が壊れた窓に吸い込まれるように泳いでく。
「臭いがあるなら端っこでも真ん中も狙う価値は変わらないようにしか思わないわ」
「そうだな。その習性を利用してはいるが、たしかに価値は変わらないだろう」
彼はそういっておもむろに私のお腹をさする。
「そういう価値を知らない世界にしないとな」
「そうね。両親達にあわせてあげたかったわ」
彼はにっこりと笑うと、胸に手を伸ばしてきたので張り手を食らわしてあげた。
生物の習慣 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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