邂逅

バブみ道日丿宮組

お題:最強の出会い 制限時間:15分

邂逅

「ーー不幸だと思ったの」

 一刀かわした後に聞こえた言葉。

 一体誰に向けられたのかはわかってる。

「その悲劇を拡大させるのは兄さんは望んじゃいない」

「そんなことは関係ないの」

 振り返り、その顔をふたたび見る。

 おぞましい変化だと思う。

 一言で天使が悪魔に堕ちたと、誰もが口をそろえるだろう。

 少なくとも義姉と慕ってたころの表情はどこにもない。

「あなたがいなければ、きっとあの方が力を持てたはずなのに、なのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのに!」

 壊れてるとは最初の接触でわかってることだ。

 今更人間として裁くのは無理がある。

 なによりも力の使い方が本来とは違う。

「お姉ちゃん、一方的な憑依融合はただの洗脳ーーしかも死人ならただのゾンビ行為。人間としてお姉ちゃんは誰よりも慕われて、どんな人にも優しい人だと聞いてたのに」

「あら、入れ替わったの?」

「そう、私は彼と出会って変わった。一人じゃなくなったの」

 俺の口が勝手に動いてく。

 憑依融合とは相手に身体を委ねる力。

 つまり、俺は彼女ーー義姉の妹に力を与えてもらってる。

 兄さんと違ってダメダメだった俺をはげます力を。

「それは弱いっていうんだよ!」

 俺が身体を動かしてるだけは見えもしない太刀筋が殺意として反射して身体が動く。彼女の血の力。

「いやね、その力。さすがに気持ち悪いって井戸に投げ捨てられたのもわかるわ」

 でも不思議ねと彼女は気味の悪い笑みを浮かべ、

「どうして生きてるの?」

 直球な質問を投げかけた。

「……生きてるからよ。当然足はダメになったし、身体は強くないのはちっとも変わってない。こいつに運んでもらわなきゃ、自由もほとんど効かないわ」

「いい気分だわ」

 そんなことをいう人じゃなかった。

 清楚、そう妹がいうように天真爛漫さが惹かれる人であったのに、

「五体不満足な状態のやつに憑依融合されるのって気持ちいい?」

 見下した眼がこちらを射抜く。

(あんた少し可愛そうに思ってない?)

 そんなことはない。最初からやることは決まってる。

 そのために君と2回の邂逅を遂げたんだ。繋がりは強さだ。

(そ、そう。な、なら、やるわよ)

「じゃぁ、あなたに二度とそんな口を言われないようにしてあげる」

「できるのかしら?」

「さぁ? 憑依融合者と戦うのってきっとこの世の中じゃ私たちぐらいだろうし、わからないわ!」

 俺は全てを委ねた。

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邂逅 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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