地球のライン

バブみ道日丿宮組

お題:どこかの光景 制限時間:15分

地球のライン

 世界から、いや地球上から人間という生命体が消えてからはや数千年が経過した。

 人間という生命体はいないことはないが、R指定に沿った寿命と制御されたいわばロボット。

 Rが進むことに人としての進化の電気信号を送られ、決まった行動をする。自制心というのはなくAIと呼ばれる機械システムのほうがよほど人間らしい。

 そのなかでも異例は生まれる。

 そう私のようなR-999のような存在だ。

 身体は既になく脳みそでもなく、ただの電気信号となったが人間を通して風景を見たり、地球のおかしな部分を検索できる。

 地球は電気ネットワークによってラインが引かれてる。

 だからこそ、どこかで見た光景に思えてくる。

 いや、異例というのは異例。

 人間ではないR指定の人間外。つまりは私でありかつての私たちが私の記憶となる。いわば昔まだ人類と呼ばれた状態の記憶がネットワークにあるからそう勘違いする。

 そこに争いや、憎しみ、喜びがあったという記憶もあるが今の人間にそんな感情はない。理性をかいた人間はもはや地球にはいない。

 R指定した人間、R人間とでもいようか。

 彼らがR25になるまで一定の場所で生活をし、地球のサイクルを進める。

 今一人のR人間が私の前で解体された。

 そこに恐怖の概念はない。彼であった信号は私に集まる。彼は隣りにいる。知性はなくなっても側にい続ける。何億人のこういった光景を見て記録する。

 それがR-999指定された私の役割。

 誰かが信号をまとめ保存する。

 十分な仕事だ。

 かつて起こった地球戦争の影はもはやどこにもない。

 緑が多い地球が戻った。

 そこには人間もいる。

 何もおかしなことはない。

 そう思うのは権限がそこまでしかないからであろう。だが、上の領域に行きたいという願望はない。これもまた異例だからだ。

 異例さが生まれる原因は未だに判明されていない。

 地球にまた新たな人類が生まれるーーそう上位権限のある人間はいう。

 世界が争いに包まれて、灰色の世界がまた訪れるのではないかと赤い警告を送る監視権限者はその発見と保護を行ってる。

 いつかまた人類が産まれた時、同じ過ちを繰り返さないように。

 それが私たちR人間が求める世界だ。


 そして数千年後、人類は生まれまた破壊を行った。


 上位権限者は駆逐を開始し、人類は滅亡した。

 やはり危険物でしかない。コントロールのきかない知識を与えるべきではない。人類の代わりに色んな生物が知性を持ち始めると、そこに生まれた人類は破壊をすることなく共存するようになった。

 何がいったい彼らの野蛮さを奪ったのか、電気ネットワークは今も続けられてる。いつか我々も彼らに合流する日がくるかもしれない。

 

 いつかどこかで見た光景を一緒にーーそんな新しい未来を選べるのかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

地球のライン バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る