昼と、夜

バブみ道日丿宮組

お題:昼間の職業 制限時間:15分

昼と、夜

 夜は金目のものを破壊するという野蛮な行為をしてる僕だけど、昼間は学校でおとなしい生徒を演じてる。大体夜の生活が多いせいで日中はあまり力がでない。

「今日も体調悪そうだね?」

 声が宙から聞こえた。わかってるなら放っておいて欲しい。というか、僕に構うとへんなのが付きまとうよと、顔を少し持ち上げると幼馴染の顔が見えたので、

「……そうかも。太陽がなきゃもっと元気」

 言葉を改めた。

「そうしたらあんたもっとグダってるでしょ」

 頬に柔らかい感触。

「せっかくぷよぷよしてる頬なのに台無し」

 思いっきり頬をもみくちゃされた。

「誰にも使われないからいいよ」

「えぇー、持ったいないよ。告白だってされてるんでしょ?」

 どうしてそんな話題を知ってるかなぁと思いつつ、

「僕よりも君のほうが魅力あるでしょ。だからおすすめしておいたよ。僕には不幸が寄ってくるから、近寄らないほうがいいよってね」

「そんなこというから、余計に人が寄るのよ」

 どういう神経が動いてそうなるんだろう。

 夜に破壊する金目の無機物たちはそんなことはないのに。あぁ、ちなみに金目のものをぶっこわすのは、貧困の差を広げないようにという僕の一族のれっきとした使命であったりする。

 それをお金に変えて、孤児院やら地球温暖化防止のための団体へと渡す。そういう巡回をしてるの。

「はぁ……やになるよ」

 だから、男子に構ってる時間なんてない。割りに合わないことだって、生命に危険がある時だってある。そんなものに巻き込みたくはないし、僕には興味がない。

「またそういってわたしがめんどくさくなるだけじゃない」

「おすすめするのはいいけど、そっちだって浮いた話を聞かないじゃないか。それなのに僕にだけいうのはおかしいよ」

 そういって胸をつついてやった。

 可愛い悲鳴と、頬の痛みが同時にやってきた。

「あ、相変わらず子どもみたいなことやるのね! わたしはあなたが心配だからそうしないだけよ」

「……そりゃありがとう」

 朝ごはんだけじゃなくて、夜ご飯まで作ってくれる幼馴染なんてそうそういない。

「僕は基本日中は無気力だからね……静かにしていたいのさ」

「何もしてないくせに成績が高いから余計に注目されるのよ」

 へたに変な点数をとれば、お父さんに怒られるし本気でやれば解読不可能になるし……な。

「僕は静かがいいよ」

 すぅーと幼馴染の手が脇に入り、僕を持ち上げて椅子にきちんと座らせた。

「小さなお人形さん。手入れされた黒髪に何を考えてるかわからないミステリアス。特別の職業よ、あなたは」

 お人形か。

 幼馴染にそうされてるからそうなってるような気がする。

「それで人がくるなら、人形なんだから構わないでほしいな」

「もう……仕方ないな」

 机にバタンと倒れると、幼馴染の優しい手のひらを頭に感じた。

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昼と、夜 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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