私と姉の子どものため

バブみ道日丿宮組

お題:破天荒な略奪 制限時間:15分

私と姉の子どものため

 お姉ちゃんが本当にママになった時、私は何も言えなかった。何も手を出せなかった。

 私とお姉ちゃんの血縁関係は実の姉妹。人視させた相手は、私の同級生。

 そしてそこから発生したのは無理矢理の婚姻。全てが相手に仕組まれた結婚計画は止められるはずもなく、既に男は我が家に住み着いてる。

 そこに愛がないわけじゃないからと姉さんは笑う。私だってそう思いたいだけど、彼の破天荒な行動は理解できない。愛が滲んでるとしか思えない。夜な夜な聞こえる姉の声も怖いときがある。猛獣と一緒に暮らしてる。そうとしか考えられない。

 元々うちは両親が他界して、先に社会に出てた姉が私を養子として育ててくれてた。何不自由なくこれからも二人でやってくものだと思ってた。

 それが略奪に似たカタチで崩壊した。

 お金の問題は、相手が企業の御曹司ってのが余計に悪かった。お姉ちゃんの勤め先でそれがどうなるかわかってるのかと彼は脅してくる。冗談だと毎回笑うけど、毎朝彼がみる私の視線が怖いのは変わらない。

 当然のようにお風呂にも入ってくるし、一緒に寝ようとして身体を触ってくるくらいだ。

 家族なんだから当然だろうと彼はいう。拒否することはママを裏切ることになるよと脅しまでかけてくる。

 しかも学校でそんなことをいうものだから、私はお姉ちゃんの浮気相手、淫らな妹として噂されてしまった。

 最悪な状況ではあったけど、彼の演技力もあってかいじめにはなってない。あくまでも彼女が自主的に家族だからそうやってるから心配しなくていいと力説する。

 反論したかった。

 お姉ちゃんだけでなく、私まで汚してほしくない。

 でも、どうすることもできない。

 されるがままに、私は私を差し出す以外になかった。

 妊娠するまでに時間はかからなかった。私はお姉ちゃんに正直に話した。彼にやられたこと、子どものことを。

 その頃のお姉ちゃんはもう会社を休んで家にいることが多かった。そのおかげでたくさん話せた。

 ごめんねと言われたのがショックだった。

『彼を満足させられないわたしが悪い。彼は悪くないの』

 同じことの繰り返しだった。

 彼は御曹司の勉強会というのでしばらくは家に帰ってこない。このチャンスをお姉ちゃんとの相談以外にもうつさなきゃいけなかった。

 お腹の中の子には罪はない。私が拒否できなかったのがいけない。


 私は両親が死んだ時、最後まで支援すると言ってくれた遠いおじさんに助けを求めた。

 それは、お姉ちゃんが努めてるライバル会社。

 もうお姉ちゃんと私の人生を取り返すにはそうするしかない。

 お姉ちゃんを説得するのは時間がかかった。

 殴ってでも連れてくと、頬を打ったら、本当はわかってたとやっと正直になってくれた。


 そして私たちは、長い逃避行と彼の一族との戦いをはじめた。

 そのなかで2つの新しい命が産声もあげた。

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私と姉の子どものため バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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