第437話 色と、ピンクと、染まった文章

 C言語で文字の色を変えるのは簡単だ。


printf("\x1b[31m赤色\n");


 こんな感じにやれば良い。

 でも好きな色と言っても8色だ。

 ピンクとかはない。


「えー、ピンクないの?」


 プログラムを教えているマイラからそう言われた。


「仕方ないんだよ。C言語ができた時にコンピューターグラフィックスなんか流行ってなかったから」

「昔の言語なのね」


「マゼンダで勘弁してくれ。パッと見はピンクだ」

「我慢する」


printf("¥x1b[35mタイト愛してる\n"); /*マゼンダ色*/


 こんなプログラムをマイラ組まれた。

 マイラはプログラマーに向かないが、楽しいことはやってくれる。


 グラフィック関係のライブラリを使えば、ピンク色の文字も可能だ。

 いろいろな所から提供されているが詳細は覚えてない。


 色と言えばインク

 前にこんなのを作ったな。


extern int paper_touch(void);

extern MAGIC *pink_ink_little(void);

extern void baked_paint(MAGIC *mp);

extern int mclose(MAGIC *mp);

void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 while(1){

  if(paper_touch()==1){ /*紙に接地かどうか*/

   mp=pink_ink_little(); /*インクを魔法に*/

   baked_paint(mp); /*焼き付け*/

   mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

  }

 }

}


 インクを召喚して焼き付ける。

 カラーインクも作ったよな。

 ピンクもある。

 ただ、白い紙だとピンクは目立たない。


 黒い紙にピンクは不気味だ。

 ガラスとかに書くと良いのかな。


 この魔法では焼き付けているから、ガラスにも書ける。

 マイラへのメッセージを透明なガラス瓶に書いた。

 花瓶にすると良いと思って、さっきのお返しだ。


 なんて書いたかは秘密だが、特別にこっそりと教えてあげよう。

 ハニー俺も愛していると英語で書いた。

 『Honey I love you too』だ。


「透明なガラス瓶に、ピンク色の文字。素敵だわ」

「文章の意味は内緒だ」

「ミステリアスは素敵」


 でも、マイラには文章の意味が分かったのだろう。

 ニコニコされた。


「あら素敵ですわ。わたくしにも作って下さる」


 レクティにも請求された。

 文面はどうしよう。

 永久の愛をでいいか。

 『eternal love to you』かな。


 リニアとセレンも要求。

 愛の言葉か。

 色褪せぬ愛をあなたにと、世界が敵になっても俺は君の味方だ。


 『I will give you unfading love』と『Even if the world becomes your enemy, I'll be on your side』と書いた。

 みんな意味は聞かない。

 きっと心の中でこうだと思う文章を思い浮かべているに違いない。


 外国人が漢字が分からないけど、漢字のプリントされたTシャツとかを好きなのと一緒かな。

 知らない文字って神秘的なんだろうな。


 ミステリアスな色って表現は難しいけど、ミステリアスな文字は簡単にできる。

 色って雰囲気を表すには良いけど、やっぱり文字の方が良い。


 そう考えると文字を自由に出せるプログラムは偉大だな。

 最近のプログラム言語なら何か国語も可能だ。


 でもポリゴンとかグラフィックも良い。

 あれはあれでいい物だ。

 C言語だってライブラリがあればポリゴンもグラフィックもいける。


 やっぱりプログラムは偉大だ。

 でも、気持ちには敵わないかなとも思う。

 嬉しいや楽しい、好きだという気持ちには敵わない。

 そういう意味では愛を込めた贈り物って良いと思うんだ。


 プログラムで表現できないのは感情だな。

 いずれAIでぎきるようになるのかも知れなけど。

 そんな日はきてほしくない気もする。


 この世界はゲーム世界だと思うので、すでに感情のAIはできているのかも知れないが。

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