第372話 攻撃魔法と、アルゴと、魔力アップ

 真夜中、生臭い息の臭いで起きた。

 ハンモックから体を起こしてか眼下を見ると、光る目が一対。

 どうやら俺を餌認定したらしい。


 速攻で攻撃魔法を作らないと。


import fire_ball

mp = fire_ball_make(1.0) # 火の玉作成

fire_ball_move(mp) # 火の玉を動かす


 Pythonだとプログラムが長くならなくて良い。

 それに端折れるも良い。

 ただそのぶん魔法の効率は落ちていると思われる。


 火の玉に照らし出されたのは大きい熊。

 立ち上がるとハンモックまで手が届きそうだ。

 熊は火の玉を食らうと、ウワッというような鳴き声を上げて逃げて行った。


 ふぅ、ここは油断の出来ない森らしい。

 もう今日は寝れないかも知れないが、ハンモックでくつろぐとしよう。


 いつの間にか眠っていたらしい。

 朝になっていた。


 伝言魔法をやり取りしたいが。

 メッセージのたびにプログラムを変えるのも面倒だ。


with open('モンスチ', 'w') as f: # モンスチはマイラの神秘魔法名。

   print(input(), file=f) # これで入力したメッセージを送れるはず。


 こんなので良いのかな。


 『こちら、タイト。まだ問題は発生してない』と伝言魔法した。

 『そちらの居場所は魔境だと思われる』と返って来た。

 何で場所が分かったと言えばマイラが魔法の流れの方向を見たのだろう。


 ここが魔境だと判れば、アルゴを呼ぼう。


 『こちらタイト。来い、アルゴ』と伝言魔法した。

 『今から行く』と返答があった。


 そして、目印の光魔法を打ち上げた。

 アルゴに運んでもらえれば帰れるな。

 短いサバイバルも終わりか。


 ほどなくしてアルゴが到着した。


『アルゴ街まで頼む』

「何の為に?」


 大音量で返答が返って来た。


『なんの為にって、街に帰るためにだ』

「断る」

『何で?』

「魔王ではない人間に従う理由はない。次にこのように呼びつけたら食ってやる」


 そう言ってからアルゴは飛び去って行った。


 アルゴに弱体化を見抜かれた。

 野生の勘か。

 強者を見分ける力があるのだろうな。

 まあいい。

 壊滅的な問題点でもない。

 力を取り戻せばアルゴも再び従うだろう。

 まあその頃には自力で帰れると思う。


 Pythonを熟知すれば帰れるのだから時間の問題だ。

 幸い前世の記憶は全て忘れてない。

 ただ、記憶を呼び出すのに脳内で検索を掛けないといけないから時間が掛かるだけだ。

 Pythonの入門書は読んでいるから、問題はない。


 まずは何が無くても魔力だな。

 魔力アップの魔法だな。


#include <stdio.h>

#include <stdlib.h>

char mana[10000]; /*自然界の魔力10000*/

void main(void)

{

 FILE *fp; /*魂の定義*/

 char s[256]; /*読み出し領域*/

 fp=fopen("カニキクカ.soul","r+"); /*俺の魂を開く*/

 while(fgets(s,256,fp)!= NULL); /*読み込みとループ*/

/*読み込みが終わっている。要するに最後の場所*/

 fwrite(mana,1,sizeof(mana),fp); /*最後の場所に魔力を付け足す*/

 fclose(fp); /*閉じる*/

 time_wait(6000); /*1分待つ*/

}


 たしかC言語ではこんなだった。

 だからこんなプログラムでいいはずだ。


import time_wait


mana = [] * 10000 # これで魔力が定義された。

global mana # グローバルにしたから自然界の魔力を指す。


with open('カニキクカ.soul', 'a') as f: # カニキクカは俺の神秘魔法名。

   print(mana, file=f) # これで魔力を追加。

time_wait(6000); /*1分待つ*/


 Pythonはプログラムが短くて良い。

 その点は好きになれそうだが、染みついたC言語の癖は中々取れないだろう。


 とにかくこれで戦う算段はついた。

 だが、まだアルゴを圧倒できるほどじゃない。


 やるべきことは三つ。

 帰り道を探す。

 生き残る。

 魔王の力を取り戻す。


 魔王の力さえ戻れば帰り道と生き残るは達成されたも同然だ。

 魔王の力を取り戻すを最優先にしよう。

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