第341話 街の今と、リッツの街づくりと、褒賞

 サバンナの街の名前が決まった。

 カテラだ。

 ミカカ語で2を表す言葉らしい。

 街の建物はほとんどが移動式住居。

 これは組み立て式の柱から出来ている。

 柱に穴が開いていて、そこに柱を入れて蔦で縛れば、家の柱は完成だ。

 屋根は乾いた葉っぱを使っている。

 この乾いた葉っぱは非常用の食料にもなる。


 本来なら家は川のそばに建てるものらしい。

 この街は水を魔道具で賄っている。

 サバンナのディッブの民からしたら、イレギュラーな街だ。


 街の地面は草で覆われている。

 水をがありさえすれば、草や木がどんどん勝手に生えてくるからだ。

 草があるとそれを目当てに草食獣がやってくる。


 この街では集まった草食獣を捕まえて、家畜にしている。

 草食獣の一番大きいのは象ほどもある。

 魔闘術が無ければ家畜化など無理な話だ。


 いま放牧地は1キロを超えて広がっている。

 ディッブの民は働き者だ。

 食料がない生活というのを知っているから、蓄えはあればあるほど良いという考えらしい。


 逆に戦士の住むジャングルは食べ物は豊富だ。

 だが、常に危険と隣り合わせになる。

 どっちが良いのかは分からない。

 もっと住みやすい土地を探すことを考えなかったのだろうか。


 放牧地の草原を散歩がてら歩く。


「そろそろ次の街を作ってもいいのかもな」

「じゃあ、次の街はカクスイイだね」


 リッツがなんかやる気を出している。

 じゃあ、リッツに指揮を執らせようか。


「リッツ、お前が街を作れ」

「いいの。頑張って女の子に恰好良いところを見て貰うんだ」


 能天気な奴だな。

 問題点が山積みになってヒイヒイ言っても知らないぞ。


「ちょうどいい。コネクタとベス、手伝ってやれ」

「そんな大任出来るかな」

「責任が重大過ぎます」


「なに失敗してもいいんだ。サバンナの民の財産は命と柱と屋根の葉っぱだけだ。それさえ失わなければ問題ない」

「そうそう、俺なんか失敗した時のことなんか、これっぽっちも考えてない。女の子にもて過ぎて困った時のことしか考えてない」


 リッツはもう少し考えようよ。

 だが言わない。

 3人がどうするか俺は見守るだけだ。


 リッツはカテラの街から少し離れた所に街を作ることに決めたらしい。

 まず人を雇って、魔道具で水を撒かせた。

 貨幣があんまり流通してないディッブで、どうやって人を雇ったかといえば、塩だ。

 塩を作ったのだ。


 前に俺が塩を作る魔法を作ったのだが、リッツがその魔法がほしいとだだをこねた。

 無視しても良かったのだが、役目だけ押し付けるのもちょっと違うと思って、魔法を魔道具化してやった。

 こんな魔法だ。


extern MAGIC *salt_make(float mana);

extern int mclose(MAGIC *mp);


void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 mp=salt_make(0.00005); /*塩を作る*/

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

}


 プログラム魔法は効率がいいから、いくらでも塩を作り出せる。

 原材料はどこにあるのかと言えば土の中だ。

 土は塩分を含んでいる。

 だからいくらでも湧いて出る。


 塩を日当に働かせて、水を撒かせたわけだ。

 サバンナは3日で草原になった。

 そうすると草食獣がやってくる。

 ここまでは簡単だ。

 問題はここからだ。


 寄って来る肉食のモンスターを撃退しなければいけない。

 戦士は塩じゃ動かないぞ。

 どうするか見ていたら、勲章を作りやがった。


 モンスターを5体撃退すると、なんとか勲章。

 20体撃退すると、なんとか勲章と色々と作った。

 授与の式典は盛大にやった。

 これが大受け。


 ディッブ人は名誉に弱いらしい。

 覚えておこう。

 たしかに卑怯な行いは忌避しているようだし、こういうのが好きなのかもな。


 リッツはディッブ人をよく分かっている。


「どうだ?」


 俺はリッツに様子を聞いた。


「細かい問題点はコネクタとベスに任せている。そろそろ選挙をやりたいな」

「俺の真似をしなくてもいいんだぞ」

「優れた人に率いてもらいたいという国民性なんだよディッブは。世襲じゃ我慢ならないらしい。だから選挙だ」


 リッツは頭が良いのか悪いのか掴めないところがある。

 ディッブ人に関しては俺より分かっている。

 俺は言葉を覚えるのを諦めたくちだから。


「分かった。選挙の魔道具を貸せと言うんだな」

「まあね」


 適正で分かったが、リッツは人を使うタイプの人間だな。

 コネクタとベスは使われる側だ。

 コネクタとベスが優秀じゃないと言っているわけではない。

 下につく性格だとということだ。

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