第337話 もてるリッツと、調子に乗るリッツと、オチがつくリッツ

 男戦士と女戦士の試合が終わって、今は宴会だ。


「リイカ・キラ・ラハ・モイ!」


 女の子が強い口調で何か言っている。

 腕を男につかまれているから意味は分かる。


「離してと言っている」


 やっぱりか。


「リッツ、注意してやってくれ。荒事になりそうだったら、マイラにやらせるから気兼ねしなくていいぞ」

「そういうのは得意だ」


 リッツが揉めている男女に接近した。


「リイカ・キラ!」


 リッツが注意した。


「リラヒイリン」


 女の子がそう言うと、周りで見ていた女子も口々にそう言った。

 感謝の言葉かな。


「ンラナやリリ・スイキスイカ・カクニト!」


 男はそう捨て台詞を吐くと去って行った。

 リッツは女の子達に囲まれてまんざらでもないようす。


「リッツが死なないといいのだが」


 トレンが不吉なことを言った。


「死相でも見えるのか」

「さっきの男、大佐の子飼いの子飼いだぞ」

「下っ端ってことか。じゃあべつに平気だな」


 そう話していたら、リッツは男達に囲まれていた。


「やるのか。俺のげんこつは痛いぞ。【魔闘術】」


 リッツがスペルブックを開き魔法を発動する。

 男達はリッツに殴りかかった。

 マイラの出番かな。


 だが予想に反して、リッツは次々に男を叩きのめした。


「絶好調!」


 某野球選手みたいに雄叫びを上げるリッツ。


 女の子達から黄色い声援が飛んだ。

 やがてリッツ以外の男は立っていなかった。


 リッツはさらに多くの女の子達に囲まれた。

 調子に乗っているな。

 そして、いかにも鍛えているという男がやってきた。


「少佐だ。大佐の直接の子飼いの奴だ」


 トレンがそう言った。


「今日は負ける気がしない。掛かってこいよ」


 そう言ってリッツは指をくいっくいっと動かした。

 少佐は飛び掛かったが、リッツの拳を食らって沈んだ。


 俺は夢でも見ているのか。

 目をこすったが現実は変わりない。


 そして、頬に傷がある男がやって来た。


「大佐だ。今度こそリッツは死ぬぞ」

「まあ、もうちょっと見ていよう」


「いまなら引き分けで済ましてやる。ニやリリ・トイカカリイ・ハラス・チ・シスチテ・ミラテ」

「シニシ・ンラナ・キイカ・コナリリニイシ」


 女の子達から落胆の声が聞こえる。

 心なしかリッツが小さく見えた。


 リッツは大佐にデコピンされて吹っ飛んだ。

 やっぱりリッツだ。

 肝心なところで落ちは外さない。


「はーい、お開き」


 マイラがそう言って大佐を睨んだ。

 けっ、女かよというような悪態をついて大佐が去っていった。

 面目が保たれたんで退いたんだな。

 マイラの強さはヒュドラ退治で知らないものは、このサバンナの街にはいない。


「リッツ、大丈夫か?」


 俺はリッツに声を掛けた。


「いてて。首が痛い」


 リッツは盛んに首の後ろをさすった。


「しょうがない奴だな。【完全回復】」

「勝てると思ったんだけどな」

「大佐クラスに勝てると思ったのか。やる前に大佐はなんて言ったんだ」

「ブルってるのかって言った」


 見透かされたな。

 それじゃ勝てない。


「リッツの実力じゃ少佐も怪しいだろう。少佐に勝てたのは、相手が良かったな。きっと弱い奴だった」

「くそう。女の子達にも嫌われちまって散々だよ」


 マイラがリッツを興味深そうに見ている。


「何か?」

「面白いことになっていると思って」


 俺の問いにはぐらかす様子のマイラ。

 さっきのはオチがついてたしかに面白かったが、他に何かあるのか。


「教えてはくれなそうだな」

「ええ、言わない方がもっと面白くなるよ」

「じゃあその時を楽しみにしてる」


 リッツに何かあるらしい。

 何だろな。

 お笑い体質スキルとかかな。

 まあ、害にはならないだろう。


 いつものリッツに見えるしな。

 リッツがダークサイドに落ちる光景など想像できない。


 覚醒の兆しありってことかな。

 リッツがどんな覚醒を遂げるのか楽しみだ。


 魔法エンジンでも考えるか。


#include <stdio.h>

#include <stdlib.h>

#include <conio.h>


extern MAGIC *magic_make(char *obj,int obj_size,int imege);

extern void magic_rotate(MAGIC *mp);

extern int mclose(MAGIC *mp);


char shaft[100000]; /*軸*/

void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 int i=0;

 mp=magic_make(shaft,sizeof(shaft),IMAGEPIPE); /*軸を魔法として登録*/

 while(1){

  magic_rotate(mp);

  if(kbhit()) break; /*何か入力されたら止める*/

 }

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

}


 ええと、初期の物としてはこんなところか。

 スピード調節とか、色々と付け加えるのも出来る。

 ただ、車を作るにはギヤとかハンドルとかブレーキとかクラッチとか必要だ。

 ブレーキとかクラッチは魔法で簡単にできるな。

 ギヤはエンジンのスピード調節でいける。

 ハンドルが面倒だな。

 馬車の工房に相談したら作ってくれそうな気もする。

 帰ったら取り掛かってみよう。

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