第6章 特使編

第306話 新年と、リフト魔法と、あと2年

「新年おめでとう」

「「「「おめでとう」」」」


 今日は新年を迎える日。

 マイラ達と挨拶を交わした。


 マイラは指を5つ折り、全部伸ばして、また5つ折り、2つ伸ばしたところで止めて、微笑んだ。


 俺の歳も11歳で、見た目は魔法で16歳にしている。

 マイラは15歳、この世界は15歳で成人なので、完全に大人だ。

 早い人だと結婚する人もいる年齢だ。

 レクティとセレンは17歳。

 この二人は花盛りというところだろう。

 年齢不詳のリニアは見た目は17歳ぐらいで、本当の年齢は20代前半だと思われる。


「学園が早く復興するといいですわね」


 とレクティ。

 俺達は元バリアブル邸、今はタイト邸と呼ばれている屋敷で、新年のお祝いをしていた。


「まあね。こればかりは魔法でもどうにもならない」

「石がほとんどですけど、瓦礫を撤去出来ないものかしら」


 学園は石で潰れたので、いま復興の真っ最中。

 召喚された石材がもったいないので、王都の城壁の拡張工事に使っている。


 レクティの提案を受けて、石を浮かす魔法を開発した。

 ただ石を持ち上げるだけだったが、重機のたぐいがない世界なのでこういう魔法が役に立つ。


 早速、魔道具にして、サンプルを各所に送ったら、一時間もしないうちに、持ち上げる高さを変えてくれとか、回転させる機能を付けてくれとか要望がでた。

 その都度バージョンアップして重機魔法は完成した。


extern MAGIC *obj_make(long obj_size_mm,int image,int attri);

extern MAGIC *magic_make(char *obj,int obj_size,int imege);

extern void magic_rotate(MAGIC *mp);

extern void magic_lift(MAGIC *mp,int lift_height_cm);

extern int mclose(MAGIC *mp);

extern int touch(MAGIC *mp);


char stone[100000]; /*石*/

void main(void)

{

 MAGIC *mp,*mpu,*mpd,*mpr; /*魔法定義*/

 int lift_height=0; /*高さ*/

 mpu=obj_make(20,IMAGEBUTTONUP,HOLOGRAPHY); /*2センチのボタンをホログラフィで生成*/

 mpd=obj_make(20,IMAGEBUTTONDOWN,HOLOGRAPHY); /*2センチのボタンをホログラフィで生成*/

 mpr=obj_make(20,IMAGEBUTTONROTATE,HOLOGRAPHY); /*2センチのボタンをホログラフィで生成*/

 mp=magic_make(stone,sizeof(stone),IMAGEBLOCK); /*石を魔法として登録*/

 while(1){

  if(touch(mpu)!=1) lift_height++; /*上がるボタンで上がる*/

  if(touch(mpd)!=1) lift_height--; /*下げるボタンで下がる*/

  if(lift_height<0) lift_height=0; /*下げ過ぎないように*/


  if(touch(mpr)!=0) magic_rotate(mp); /*回転ボタンを押したら回転*/

  magic_lift(mp,lift_height); /*石を浮かす*/

  if(kbhit()) break; /*何か入力されたら止める*/

 }

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

 mclose(mpu); /*魔法終わり処理*/

 mclose(mpd); /*魔法終わり処理*/

 mclose(mpr); /*魔法終わり処理*/

}


 こんな感じだ。


「あと2年」


 重機魔法の開発で忘れていた現実をマイラが思い出させた。

 何があと2年かというと、マイラ達と結婚する年齢だ。


「忘れてないよ。でもあと2年ある。それに嫌だってわけじゃない。ただそんなに生き急がなくてもいいかなと思っている」

「精一杯生きないと、あっけなく死ぬの」

「そういうものかもな」


 ディッブ国に特使として行くという話が現実味を帯びてきた。

 学園が無くなったので、余分な人的資源が他に割り振られて、余裕ができたらしい。

 学園は王家の管理だからな。

 そういうこともあるだろう。

 建築の部署は大忙しだが、文官は大量に余っている。

 そんな感じだ。

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