第294話 薬草探しと、咳止めと、ストーンキャノン

「ごほっ、ごほっ」


 現地に着いたが、ラチェッタの咳が酷くなった。


「ラチェ、大丈夫?」


 ベークがラチェッタを労わる。

 呼び方が愛称になっているのに気づいたが、何かあったのだろうか。


「ごほっ、まだ平気ですわ。ごほごほごほっ」


 ぜんぜん平気そうには見えない。


「セレン、こんなに急激に悪くなるものなのか?」

「分からないわ。個人差がある病気だから」


 時間の猶予は無いように思える。


「ベーク、ラチェッタを飛ぶ板に乗せて、後をついて来い。何もしなくていいからな。他のみんなは薬草を探しながら歩きだ」

「僕も薬草を探す」

「ベーク、はき違えるな。お前の役目はラチェッタを励ますことだ」

「分かった」

「ごほっ」


 薬草を探すのに魔法を使いたい。

 でも、アレグラジオン草の実物イメージがないから、魔法で探すのは難しい。

 アレグラジオン草の葉は紫で、黄色い稲妻の模様が入っている。

 花は青い花だ。

 色が独特だからすぐに判る。


「ここら一帯には無いわね」


 リニアが事も無げにそう言った。


「分かるのか?」

「任せて、目は良い方なの」


「ごほっごほっ」

「よし、みんな進むぞ」

「おう」


 元気な返事が返ってきた。

 何か魔法で出来ないかな。


 そうだ。

 咳を出なくしよう。


#include <stdio.h>

#include <stdlib.h>

#include <string.h>


extern void mystery_magic_name_get(char *str);

extern void cough_suppressant(char *str);

void main(void)

{

 char str[256+5]; /*神秘魔法名の格納場所*/

 mystery_magic_name_get(str); /*神秘魔法名ゲット*/

 strcat(str,".body"); /*神秘魔法名に『.body』を連結*/


 while(1){

  cough_suppressant(str); /*咳止め*/

 }

}


 この魔道具はあまり良くない。

 なぜなら食事とかで、気管の方に入った時に咳が出ないと困るのだ。

 風邪の時も同様だ。

 とにかく生理現象を止めるというのはよろしくない。


 でも一時的なら構わないだろう。


「この魔道具をつかってみてくれ」

「ごほっ、はい。咳が止まりましたわ」

「何でもそうだが、強い薬みたいな物はあまり良くない。過ぎたるは猶及ばざるが如しだからな」

「分かりました。覚えておきます」


「僕達も薬草探しに加わって良いんだよね」

「ああ、ラチェッタの運動を止められている訳じゃないからな」


 薬草探しは、難航中。

 森の中は起伏に富んでいて、おまけに藪や灌木や倒木が邪魔をする。

 こりゃあ、一苦労だぞ。


 魔法で何とかなればと今日ほど思ったことはない。

 花は召喚出来たのにな。

 あれは実物を見たり触ったりしたことがあるからだ。


「きゃあ」


 ベスから悲鳴が上がる。

 そばにいたラチェッタが束縛の魔道具を投げる。

 出てきた大蛇が石のロープで束縛された。

 俺は無詠唱で電撃魔法を放ち仕留めた。


 魔境だから、油断は出来ない。

 ここは浅いから、Cランクぐらいしか出て来ないが。


 ベーク達を連れてきたのは正しい選択だったろうか。


 大蛇の魔石と合わせて、手持ちのCランク魔石は全て束縛の魔道具にして、配った。

 これで誰でも足止めが出来る。


 Aランクモンスターにどれぐらい効果があるか分からないが。

 何となく心が焦る。


 何か出来ることは?

 森で火球の魔法は危険だ。

 電撃もあまりよろしくない。


 ウインドカッターは威力がいまいちだ。

 手堅くいくならストーンキャノンか。

 でも魔法は遅い。

 手元から加速し始めるために、野球選手が投げる球ぐらいのスピードしか出ない。

 重力や風を使って加速するとかなり早くなる。


 ストーンキャノンの魔法を改良して、魔道具にした。

 攻撃の魔道具はあまり作りたくないが、緊急事態だから目を瞑ろう。


extern MAGIC *stone_make(float mana);

extern void magic_straight(MAGIC *mp,char *orbit,int orbit_size);

extern void gravity_acceleration(MAGIC *mp,char *orbit,int orbit_size);

extern int mclose(MAGIC *mp);


void main(void)

{

 char orbit[2000]; /*軌道データ*/

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 mp=stone_make(0.006); /*1メートルの石を作る*/

 magic_straight(mp,orbit,sizeof(orbit)); /*真っ直ぐの軌道データを入れる*/

 gravity_acceleration(mp,orbit,sizeof(orbit)); /*石を動かす*/

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

}


 これをみんなに、配った。

 この魔道具は後で回収する予定だ。

 装備はこんなもので良いだろう。

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