第272話 ラブラブ度計測と、脳波と、悪魔の発明

「ラブラブ度計測の魔法を作ってほしい」

「ベーク、見返りは何だ」

「これだ」


 袋一杯に入れられた骨。


「骨?」

「茹でて乾燥した骨だ」


「どんな意味が?」

「リニアさん、欲しくないか。サイリスと親密になれるぞ」

「ほしい。タイト、ぜひ貰って」


「リニアに頼まれたら仕方ないな。ベークもリッツに頼まれたんだろうし」


 さて、ラブラブ度ね。

 脳波から計測するのが良さそうだ。


 となると、魔法に体の情報を渡してだな。


extern char *real_name_get(char *str);

extern int lovelove_scale_check(char *str1,char *str2);


void main(void)

{

 FILE *fp; /*ファイルを読み込む時の情報が入る*/

 int i; /*神秘魔法名の格納場所*/

 char str_master[256+5]; /*自分の神秘魔法名の格納場所*/

 char str_partner[256+5]; /*相手の神秘魔法名の格納場所*/


 system("dir > temp"); /*情報をtempに送る*/

 fp=fopen("temp","r"); /*tempファイルを開く*/

 fgets(str_master,200,fp); /*自分の神秘魔法名を読み込み*/

 strcat(str_master,".body"); /*神秘魔法名に『.body』を連結*/


 while(fgets(str_partner,256,fp)!= NULL){ /*得た情報の一行*/

  printf("%sとの相性は",real_name_get(str_partner)); /*普段の名前を獲得して表示*/

  strcat(str_partner,".body"); /*神秘魔法名に『.body』を連結*/

  printf("%d%\n",lovelove_scale_check(str_master,str_partner)); /*ラブラブ度の表示*/

  for(i=0;i<256+5;i++){ str_partner[i]='\0'; } /*名前領域のクリア*/

 }

 fclose(fp); /*ファイルを閉じる*/

 system("del temp"); /*仮データを消す*/

}


 神秘魔法名を使っているが、コメントを読まれない限り大丈夫だ。

 ベークの翻訳はコメントには及ばない事が分かっている。


 ベークに作った魔法を見せた。


「【ラブラブ度チェック】。あれっ失敗した」

「ベークの新魔法の翻訳が失敗したか? どれどれ」


 見た感じいけているようだ。

 何の原因でかな。

 ああ、脳波で計測しているんだったな。


「ベーク、脳波という物があってな。脳波微弱な電気信号を発している。それを読み取るイメージで発動してみろ」

「【ラブラブ度チェック】、うわっ、俺って嫌われている」


 空中に表示された俺とベークのラブラブ度は20%だ。

 マイラは0%。

 レクティは3%。

 セレンは-100%。

 リニアは5%だった。


 この中で俺が一番ベークを好きらしい。


「これって危険じゃないのか?」


 そうベークが焦ったような声を出した。


「悪魔の発明と呼ばれるかもな」

「同志リッツよ、悪魔になってしまうのか」

「玩具だから信頼性はないと注意書きしとけば問題ないだろう」

「相性占いみたいな」


 そうマイラが言った。


「マイラ、ナイス。ラブラブ度占いって事にしとけ。そうすれば、当たってるのか、当たっていないのか、気にしない」

「そうする。占い魔法ってリッツに告げるよ。魔道具の販売もそうする」


「ですわね。魔法に心の襞が読み取れるとは思いません」

「ベークを嫌っているので、案外当たっているかもね」

「5%はきっと骨のせいね」


「やーい浮気者」

「あなただって0%だったじゃない。ほとんど変わらないわ」

「0は何を掛けても0。でも5は違う」


 やっぱり悪魔の発明だな。

 流行りそうだけど、人間関係にひびが入りそう。


「わたくしもっとベークさんを気にかけていたつもりですが、ちょっと気配りが足りませんでしたわね。反省しなくては」


 レクティは反省した雰囲気ではない。

 何を考えたのか読めない。

 ここで俺が何か言うと泥沼だな。

 口をつぐんでいよう。


「セレンは優しそうな顔して冷血女だったのね」


 マイラ、もう辞めてやれよ。


「ベークはゴキブリより嫌い。冷血女と言われても良いわ」


 セレンの本当に嫌そうな顔。


「やーい、セレンが開き直った。タイトはこの魔法を使わないの。私は使いたいな」

「まあなんだ。俺達の中でこの魔法は禁止」


「タイトが言うのなら」


 婚約者達とのラブラブ度が分かったら、また婚約者同士で揉めるのだろうな

 パンドラの箱は開けてしまったが、君子危うきに近寄らずだ。

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