第129話 サイラと、ノッチと、タンタル
道に出たのでこれからは地雷探知しながら進む。
地雷を見つけるとキャンセルの魔法で地雷の起動を停止させた。
途中サイラの家に寄った。
サイラが心配だったからだ。
「大丈夫だったか?」
「ええ、これから、どうなるのかしら」
「すぐに終わるよ。ノッチも帰って来る」
「ノッチが見つかったの? どこ? どこにいるの?」
口を滑らしてしまった。
ノッチの事は言わなきゃよかった。
「ノッチはバリアブル城にいる」
「連れてって」
「仕方ない。前に出るなよ」
それから、バリアブル城には兵士に会う事なく、到着。
地雷に全幅の信頼を寄せているのか。
トンネルの守りを突破されないと思ったのか。
とにかく兵士の数は少ない。
『アルゴ、火は吹けるか? 吹けるなら城門を吹き飛ばせ』
「承知しました」
風が後方に吸い込まれていき、炎が城門を舐めた。
どろどろに溶ける城門。
俺は冷却の魔法で冷やした。
それから兵士と足を踏み入れ、見つけた敵兵士を電撃で痺れさせていった。
敵兵士が十数人で守っている部屋がある。
これは攻略しないと。
電撃のつるべ撃ち。
「おや、立っている奴がいるな」
「我こそはシャント子爵。名を名乗れ」
「タイト・バラクタだ」
「王族か。一手ご所望つかまつる【閃光】」
くっ、油断した。
搦め手からくるとは。
強い光で目潰しされた。
だが、常時回復の魔道具がある。
そう思ったら、シャント子爵はマイラとダイナに叩きのめされてた。
「卑怯な……」
一言だけ言ってシャント子爵は気絶した。
「殺し屋に卑怯は誉め言葉です」
「ごろつきにも卑怯は誉め言葉。卑怯なんて言っている奴は死ぬ」
さいですか。
ノッチはこの部屋の中にいるような気がする。
「サイラはここで兵士と待て。サイラの顔を見たノッチがどんな行動をとるか分からない」
「嫌よ」
「必ず生きて連れて来る」
「絶対よ」
ふぅ、何とか納得してくれたようだ。
いよいよか。
扉を開けるとノッチがいた。
「そこまでだ。それ以上近づくと爆弾が爆発する」
ノッチが持っている魔道具をキャンセルして停止させた。
最新版のキャンセルは停止させた後に魔力を吸い取るようになっている。
「やってみろよ」
「はったりだと思うのか。母さん今行きます。あれっ、何でだ」
「歯を食いしばれ」
俺はノッチを殴った。
「ぐがっ、何をする」
「今のはサイラの分だ。これはお前の母の分だ」
俺はもう一発ノッチを殴った。
口の端から血を流すノッチ。
俺を睨んでいる。
「【太陽火球】」
ノッチが魔道具を諦めて放り出し、スペルブックを開いて、魔法を行使する。
俺は太陽火球を握り潰した。
「何で?」
「借り物の力でやっているからそうなる。復讐だか何だか知らないが、他人に乗せられやがって。悪い事は言わない。その気色悪い顔を元に戻してサイラの元に戻れ」
「どこでサイラの名前を?」
「調べたに決まっているだろ。お前の母さんが貴族に殺された事もな」
「そこまで知っているのか」
「ニオブ、無事か?」
タンタルが隠し通路から乱入してきた。
「おのれ、タイト。バリアブル家、秘伝の魔法を食らえ【必滅矢】」
タンタルの魔法をバリアで防ごうとした。
だが、矢の形をした魔法はバリアをすり抜けて、俺の腹に刺さり、腹がはじけた。
防げたと思ったんだがな。
矢は確かにバリアで止まっていた様に見えた。
常時回復が作動して事なきを得たが、心臓を貫かれたらどうなるか分からない。
「ノンポーラの仇、思い知ったか」
「ノンポーラの事なんか知らないぞ」
ノッチの様子がおかしい。
奴がやったのか。
これも潮時なのかもな。
このこんがらがった関係を解いて清算しよう。
「見ろ」
俺はノッチの腕をつかまえてめくった。
「何っ、ニオブにそんな痣はないはずだ。ニオブじゃないのか」
「そうだ。こいつはノッチ。貴族を殺したくて、ニオブに成り代わった」
「ということはノンポーラを殺したのはお前か。まさかニオブまで」
ニオブをやったのは俺だけども。
「ああ、僕さ、僕がやった」
「許さん。【必滅矢】」
矢がノッチに迫る。
その時サイラが現れ、ノッチを庇った。
矢を受けるサイラ。
「サイラー!!」
絶叫するノッチ。
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