第109話 負傷者と、治療と、地雷

 冒険者ギルドが騒がしくなった。

 何だ? 何が起こった?

 モンスターが攻めて来たのか。

 怪我人が続々と運び込まれてくる。


「ギルドから治療費は出しますので、治療魔法を使える方はお願いします」


 バックアップがあれば完全回復できるが、そうでないと止血ぐらいしか出来ない。

 それでも、やらないよりましか。


 俺は人込みをかき分け、怪我人の元に近寄った。


「重症だと駄目だが止血ぐらいなら出来る」

「お願いします」


 魔力は腐るほどあるので、何人も治療してやった。

 バックアップがない者は欠損とかが治らないが、命を落とす事はないようだ。

 だが、意外にバックアップがある者が多い。


「魔導師と付き合いがあるのか」

「ああ、魔導師のポーターがいなくちゃ話にならん。それに治療もな。高い金をふんだくられるが、便利なんでな」


 冒険者は魔導師と協力関係にあるのか。

 魔導師を根こそぎ殺すのは愚策だな。

 だが、やつらは美味しい汁を吸いまくってるな。

 今も魔導師がホクホク顔で治療している。

 そりゃ、バックアップは取っておくよな。

 治療できるようになれば、顧客が増えるんだからな。


 欠損の治療は難しいとか理屈をつけて、お金を請求しているらしい。

 治療に怪我の重さは関係ないのに、怪我の程度で値段を決めている。

 見ていてつい言いそうになった。

 俺は一律銀貨1枚で治してやったが。


「何でそんなに安い料金なんだ? お前、どこの魔法使いだ? まさかもぐりの魔導師じゃないだろうな」


 そう魔導師に言われた。


「学生だ。半人前だと思っているので、高い金は取ってない。だが研究成果のおかげで腕はピカイチだと思っている」

「ふん、素人が。出しゃばるんじゃないぞ」

「そうは言っても実践の場が、なかなか無いんでな」


 そう言って俺は誤魔化した。


「暗闇に気をつけるんだな。命が惜しかったら余計な事はするな」


 そう言って、魔導師は離れた。

 脅しなんか知るもんか。

 たぶん、ただの脅しだろう。

 襲ってくれば返り討ちだがな。


 怪我人の治療をして分かった事がある。

 足の怪我が多い。


「どうして、こうなったんだ」


 俺は比較的に軽症だった奴を捕まえて聞いた。


「魔の森で狩りをしてたら、とつぜん地面が爆発したんだよ。誰の仕業なのか突きとめたいぜ」


 十中八九、新兵器の実験だな。

 話を総合したら、地雷のような物らしい。


 どこのどいつだ。

 こんな物騒な物を作ったのは。


 地中探査魔法は作った事がある。

 少し、改良して魔道具化するとしよう。


#include <stdio.h>

#include <stdlib.h>


extern int magic_stone_check(char *sample,int sample_size);

extern void speak(char *ss);


char earth[10]; /*地中10センチ*/

void main(void)

{

 if(magic_stone_check(earth,sizeof(earth))==1){ /*地面の中の魔石をチェック*/

  speak("魔石発見"); /*音声を流す*/

 }

 else{

  speak("魔石無し"); /*音声を流す*/

 }

}


 たぶん魔道具の仕業だろうから、魔石を発見すればいい。

 こんな魔法でいいだろう。


 問題はこの魔道具をどうするかだよな。

 俺が作ったのがばれるのは不味い。


 俺は金の卵を産むガチョウみたいなものだからな。

 広く知られるのは、余計なトラブルの元だ。

 うっとうしいのは御免だ。


 偶然持ってたとか言ったら、ややこしい事になる。

 なんでかと言うと、毒を持つ奴は、解毒剤を持つのが常識だからな。

 地雷を作った奴が、地雷探知を作る可能性を普通の奴なら考える。

 地雷の魔道具を作った犯人にされかねない。


 年齢を操作する魔法を使って、俺は老人に化けた。

 そして冒険者の一人を呼び止めて、地雷事件に関係ある品だと言って、地雷探知の魔道具を渡した。

 絶対にギルドのお偉いさんに渡すようにと付け加えた。


 使い方も書いたからこれで大丈夫だろう。

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