第96話 行方不明と、腕スキャンと、捜索依頼

 あの商人の養女になったサイラがまたやって来た。

 何となく浮かない顔をしている。


「あのね。知り合いの男の子が行方不明なの。王都で見た人がいるんだって。私と同年代で魔道具職人の見習いよ」

「それは気がかりだな。俺も探してやるよ」

「私も探すのを手伝う」


 マイラも探してくれるらしい。


「俺達の同年代ぐらいの男の子は沢山いる。何か特徴がないか」

「それなら、腕に鳥の形の痣が」


「腕をまくっていれば分かるが、そうでないと厳しいな。魔法で透視するのもありだが、透視魔法はマイラに禁止されている」

「うーん、日記の中身を見ないのを約束してくれれば」

「約束するよ」


 さて、透視魔法だ。

 X線だと骨が映るだけだ。

 服だけ透かして見るのは難しいな。

 赤外線を見ると白い服なら透けそうだが。


 それに街で服を透かしてみると全裸の女の子も目に入ってしまう。

 いろいろと不味いな。

 どうするのがいいのか。

 体の腕だけをスキャンするか。


 それなら不味い事もない。

 マイラに魔道具化して渡しても問題ない。


 それどころか。

 クラッド商会の従業員にも手伝って貰える。


 おも研のメンバーにもだ。

 肝心な事を聞き忘れてた。


「その男の子の名前は?」

「ノッチよ」


 よし、魔法を作るぞ。


#include <stdio.h>

#include <stdlib.h>

extren void holography_display(char contents,int locat1,int locat2);

extern void time_wait(long time_ms);

void main(void)

{

 FILE *fp; /*体の定義*/

 char s[256]; /*情報を入れておく所*/

 int i,j; /*カウンター*/


 fp=fopen("神秘魔法名.body","r"); /*体の情報を読み込みで開く*/

 j=0; /*位置1の初期化*/

 while(fgets(s,256,fpi)!= NULL){ /*読み込みと全体の終了判定*/

  i=0; /*位置2の初期化*/

  while(i!=256 || s[i]!='\0'){ /*一部分の終了判定*/

   if(s[i]& ARM_FLAG!=0){ /*腕なら*/

    holography_display(s[i],i,j); /*位置1と2の場所に幻を出す*/

   }

   i++; /*位置1をずらす*/

  }

  j++; /*位置2をずらす*/

 }

 time_wait(100*60); /*一分待つ*/

}


 神秘魔法名を俺のにして、実行してみる。

 腕だけが空中に浮かんだ。

 ほくろの位置までばっちりと分かるから問題ないだろう。


 後は神秘魔法名を取って来るプログラムは前に書いたから、それを組み合わせて作れば完成だ。

 実行すると複数の腕が浮かんだ。

 マイラとサイラと俺の腕だな。


「出来た」

「腕だけだと不気味ね。夢に出てきそう」

「他の部位は作らないでね」


「そこは信用してほしいな」

「うん、信用してる」


 おも研に顔を出した。


「腕をスキャンする魔道具を作った。腕に鳥の痣がある行方不明の男の子を探して欲しい」

「任せるのだ」

「男の腕は美しくないけど、人助けとなれば、このアキシャルにお任せを」

「人助けなら仕方ないわね」


 クラッド商会にも行って頼んだ。

 一応、ランシェにも持っていくか。

 執務室に入る。


「今度はどんな頼み事であるか」

「腕を読み取る魔道具を作った。行方不明の男の子を探すのに協力してほしい」

「ただでは駄目なのである。この魔道具の顔バージョンを作るのならば、よろしい」

「お安い御用さ」

「これで覆面してても賊の顔が拝めるのである」


「功績はマイラにつけといて」

「分かったのである」


 顔を隠していても正体が分かるのは問題ないよね。

 後はノッチの目撃情報があると良いけど。


 ここは王都の門。

 出入りする人でごった返している。

 サイラが帰る事になった。


「気を落とすなよ」


 サイラの顔は晴れない。

 王都にいる間に見つかると思っていたらしい。

 王都は広いからな。

 年齢で絞り込めるとしても、なかなか上手くはいかない。


「うん、必ず見つかると信じてる」

「頑張ってみんなで探すから」

「私も頑張る。スラムの範囲は任せて」


 サイラが馬車に乗り込み去って行く。

 早くノッチが見つかるといいな。

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