第78話 猫と、寄生虫と、殺し屋

 学園の校舎の脇で、にゃあにゃあと猫が鳴いている。

 たぶんあの子猫だな。

 どこから入って来たんだろう。


 話し声がする。


「規則で飼えないの。ごめんね。もう、そんな顔見せたって駄目。飼えないんだから」


 猫にメイドがご飯をあげている。

 あの子猫はすっかり成長して、成猫になっていた。

 俺とマイラが近寄ると、メイドは振り返った。


「警戒しなくっていいよ。その猫とは何か縁があるんだ」


 メイドから緊張がなくなった。


「猫、かわいいですよね」

「ああ、そうだな。もしよければ、俺達がその猫の家族になってもいい」

「そんな。もうエレクとは会えないの」

「たまに会いに来ればいいさ」


「猫飼うの。嬉しい。名前はもう付いているから。ご飯用のお皿とか色々と用意しなきゃ」

「でどうする?」


「お願いします。ダイナです」

「タイトだよ」

「マイラ。よろしく」


 猫を抱き上げてダイナと別れた。


「まず、検査をしないとな。病気や寄生虫とかを、持っているかもしれないからな」

「そんな話は聞いた事がないわ。そもそも、猫のお医者さんなんているの?」

「いないだろうな。馬や牛などの家畜のお医者さんはいてもだ」

「駄目じゃない」


「そういう時こそ魔法だよ」


 ウイルスを殺す魔法は前に作ったから、それを使うとして。

 ノミやダニは人間用の薬がある。

 問題は寄生虫だな。

 やつら生き物だから、魔力を持っている。

 ウイルスぐらい微弱なのだと問題ないが、それなりの大きさだと工夫が要る。

 腕の見せ所だ。


 まずはエレクのバックアップを取る。

 これはすんなり行った。


 神秘魔法名鑑定で寄生虫の有無が分かるかと思ったが、エレクの魔力に包まれている為か上手くいかない。

 居ないのかも知れないし。

 分からない。

 これでどうだ。


#include <stdio.h>

#include <stdlib.h>

void main(void)

{

 system("cd イリイソ"); /*エレクの中へ移動*/

 system("dir > カニキクカ); /*エレクの中の情報を俺に送る*/

 system("dir > temp); /*その情報をリストにも保存*/

}


 ぞわっとした。

 おびただしい量の寄生虫がいる。

 一つ一つ丁寧に潰していくしかないな。


#include <stdio.h>

#include <stdlib.h>

#include <string.h>


void main(void)

{

 FILE *fpi; /*入力の定義*/

 int i; /*カウンター*/

 char s[256]; /*読み込み用の領域*/

 char del_name[256+4]; /*消す名前の領域*/

 system("cd イリイソ"); /*エレクの中へ移動*/


 fpi=fopen("temp","r"); /*仮ファイルを開く*/

 while(fgets(s,256,fpi)!= NULL){ /*得た情報の一行*/

  if(strcmp(s,"イリイソ.body")!=0 && strcmp(s,"イリイソ.soul")!=0){ /*エレクでなければ寄生虫だから消す*/

    for(i=0;i<256+4;i++){

     del_name[i]=0; /*消す名前のクリア*/

    }

    strcpy(del_name, "del "); /*消すコマンド*/

    strcat(del_name, s); /*名前を入れる*/

    system(del_name); /*寄生虫抹殺*/

  }

 }

 fclose(fpi); /*ファイルを閉じる*/

 system("del temp"); /*仮ファイルを消す*/

}


 できた。

 実行してみたが問題ないようだ。

 寄生虫は人間より魔力が遥かに少ないので消す魔法には抵抗出来ないようだ。


 俺とマイラもこそっと寄生虫チェックをした。

 よかった。

 俺にはいないようだ。

 前に神秘魔法名をチェックした時に確認したから、心配はしてない。


 マイラには……。

 そこは秘密にしておいてやろう。

 とにかくばっちり対処した。


Side:ダイナ


 ノンポーラ奥様から呼び出しを受けた。

 暗殺指令だ。

 標的はタイト。

 標的に対して思う所はない。

 仕事を淡々とこなすだけだ。


 潜入した学園で友達を得た。

 ああ、エレク、なんて可愛いのかしら。

 餌をあげていたら、標的が近寄ってきた。

 しめしめ。


 次の瞬間、ぞっとした。

 いつの間にか女の子が私の死角に入り込んでた。

 殺すつもりならやられてた。

 あれが鎌鼬のマイラ。

 強敵ね。


 でも問題ない。

 じっくりといきましょう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る