第75話 サイラと、おも研と、箔魔法

「会いたかった」


 俺に飛び込んで来るサイラをマイラがキャッチ。


「ごめん、浮かれてた。嫌な事が続いてあったから」

「どんな事?」

「ううん、いいの。自分の問題だから。それに王都では解決しないと思う」


「文通でやり取りしているので、知っていると思うけど、抱きとめているのがマイラだよ」

「サイラよ。あなたにも会いたかった」

「マイラ。飛び込む時は相手を選んで」

「ふふーん、タイトはマイラ専用なのね」


「違う。でも違わないのかな」

「手紙にも書いたけど、おも研の友達を紹介したい。部室に行こう」


 3人で連れだって部室に行く。

 部室の中で突然、爆発音が。

 会長はまたやってるな。

 室内でやったらいけないと何度言えば分かるんだ。


 これまでにアキシャルが何度も注意したけど、聞く耳を持たなかった。

 何かエミッタに分からせる方法があるといいけど。


 ドアをノックせずに入る。


「タイトからも言ってほしい。爆発は室外でと」


 セレンが目くじら立てて怒っている。


「よし、こうしよう。次にエミッタが室内で爆発を起こしたら、会長選挙をやる」

「ぐぬぬ。酷いのだ」


「これぐらいしないと止まらないでしょ。サイラをみんなに紹介したい。文通仲間のサイラだよ」

「サイラだよ。よろしくね」


「エミッタなのだ」

「セレンよ」

「【石英の花】。美しいお嬢さん花をどうぞ。僕はアキシャル」


 アキシャルが石の花をサイラに渡した。


「みんな良い奴だから。気兼ねなく付き合ってほしい」

「うん、何となく雰囲気で分かる」


「ここのおも研はね。おもしろ魔法研究会と言うんだけど、みんな魔法で楽しい事をするのを目標にしてる。エミッタ会長は爆発。アキシャルは花。セレンは流れ星。マイラは奇術。俺はゲームを作るのを目標にしてる」

「魔法って凄いね。石の花が出来ちゃうんだ。【石英の花】なんちゃって」


 サイラが唱えた魔法で石の花が出来上がる。

 スペルブックを持ってないから、サイラは短縮詠唱した訳ではない。

 あの効率が悪そうな呪文で花を作ったのか。

 才能があるのかな。


「サイラ、凄いよ。そう言えば魔力量って、みんないくつぐらいなんだ」

「約2万なのだ」


 とエミッタ。


「私も2万ぐらい」


 とセレン。


「僕は3万さ」


 とアキシャル。


「私は84と100万」


 とマイラ。


「僕は分からない」


 とサイラ。

 俺はサイラの魔力量を鑑定した。


「サイラは5千だな。平民としては多いな。ちなみに俺は113と100万だ。サイラは魔法を学ぶべきだな」

「地元に帰ったら両親に話してみる」


「親睦を兼ねてサイラの歓迎会をするのだ。アキシャル君は焼き鳥を。セレンはジュースを。マイラはクッキーを。セレンとタイト君は飾り付けをするのだ」


 俺達はエミッタの指示に従って動き出した。

 部屋のテーブルの上に布を広げテーブルクロスとした。

 紙で飾りを作り部屋を飾り立てる。


 いまいちだな。

 キラキラ光る物がないからか。

 金貨から金箔は作れるが、勿体ないし金貨を潰すのは犯罪だ。

 真鍮とアルミで箔を作るべきか。


 魔法を考えた。


extern MAGIC *metal_wall_make(float mana);

extern void magic_spread(MAGIC *mp,float magnification)

void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 mp=metal_wall_make(0.00005); /*金属の壁を作る*/

 magic_spread(mp,1000.0); /*千倍に薄く伸ばす*/

}


 こんなのでいいだろう。

 真鍮は銅と亜鉛の合金だから地中の金属で何とかなるはず。

 アルミも地中ので何とかなるはずだ。


 箔で色々と作っていたら。


「魔法って凄いのね。こんな綺麗な物も作れる」

「勉強すればサイラも作れるさ」


「むむっ、真鍮は知っているが、この柔らかい銀色の金属は何だね?」

「アルミだよ」

「爆発するのかね」


「爆発するようなしないような。粉にすれば燃えるんだったっけ。よく覚えてないな」

「いいのだ。今度、試すのだ」


 そんな事をしていたら、みんなが料理を持って帰ってきた。

 料理をテーブルの上に広げる。


「ではサイラとの出会いを歓迎して乾杯なのだ」

「「「「「乾杯!」」」」」


 ああ、そうだ。

 アルミの粉は危険物だったか。

 後でエミッタに釘を刺しておかないと。

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