第70話 真夜中と、空腹と、即席めん

 空腹で真夜中に目が覚めた。

 7歳の子供ボディは常に腹が減っている。

 魔道具のコンロがあるので調理はできるけど、無性にカップ麺が食いたい。

 ここは異世界、カップ麺などあろうはずがない。


 無ければ作る。

 魔法で作る。

 前に魔法で醤油を作った。

 その時の応用で錬金魔法を使ってスープを作る。


extern MAGIC *magic_make(char *obj,int obj_size,int imege);

extern void magic_alchemy(MAGIC *mp,char *process_data);

extern int mclose(MAGIC *mp);


char soup[200]; /*合成する物質200立方センチ*/

void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 char process[9]; /*工程データ*/


 mp=magic_make(soup,sizeof(soup),IMAGE_LIQUID); /*スープを魔法登録*/


 process[0]=ONION; /*玉ねぎ*/

 process[1]=CARROT; /*人参*/

 process[2]=MEAT; /*肉*/

 process[3]=EXTRACT; /*うま味抽出*/

 process[4]=SALT; /*塩*/

 process[5]=PEPPER; /*胡椒*/

 process[6]=WATER; /*水*/

 process[7]=BOIL; /*煮る*/

 process[8]='\0'; /*終わり*/


 magic_alchemy(mp,process); /*プロセスに従って錬金*/

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

}


 スープは出来た。

 麺も錬金魔法だ。


extern MAGIC *magic_make(char *obj,int obj_size,int imege);

extern void magic_alchemy(MAGIC *mp,char *process_data);

extern int mclose(MAGIC *mp);


char noodles[200]; /*合成する物質200立方センチ*/

void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 char process[8]; /*工程データ*/


 mp=magic_make(noodles,sizeof(noodles),IMAGE_NOODLES); /*麺を魔法登録*/


 process[0]=WHEAT; /*小麦*/

 process[1]=MILLING; /*粉に*/

 process[2]=KNEAD; /*捏ねる*/

 process[3]=CUT; /*切る*/

 process[4]=WATER; /*水*/

 process[5]=BOIL; /*茹でる*/

 process[6]=DRY; /*乾かす*/

 process[7]='\0'; /*終わり*/


 magic_alchemy(mp,process); /*プロセスに従って錬金*/

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

}


 鍋に魔法で作った麺とスープを入れて、軽く3分茹でれば完成だ。

 カップ麺ではないが、まあ良いだろう。


「頂きます」


 うん、どことなくチープ感がある。

 カップ麺にかなり近いかな。


「タイト、いい匂いがするんだけど。夜何か食べるのは良くないってみんな言ってるよ」


 隣室からマイラが出てきて、眠い目を擦りながら言った。


「ルールは破る為にある。誰にも迷惑を掛けないルール破りはいいんだよ」

「それ、犯罪者の理屈だよ」


「俺達は今宵、泣く子も笑う犯罪者。さぁ、堕落の味を味わいたまえ」

「へい、親分」


 マイラも魔法で作った即席のスープ麺を食い始めた。


「美味しいだろ」

「うん」


 どんどんとドアを叩く音がする。


「こんな夜更けに何だよ?」


 ドアを開けるとこの寮の人間が全て揃っていた。


「いい匂いさせやがって」

「みんなも食う?」


 俺はそう尋ねた。


「ここまで来たらな」

「おう、そうだ。そうだ」

「早くしろよ」


「3分待ってね」


 魔法は出来ているので料理は一瞬だ。

 味を馴染ませる為に茹でる。

 みなその3分が待ちきれないみたいだ。


「なんか、具も入ってないけど、妙に美味い」

「そうだな。何でだろ」


「夜中に食っているという背徳感がスパイスなんだと思う」


 俺の言った言葉にみな頷いた。

 異世界でも夜中に食う飯は美味い。

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