第33話 カソードと、石つぶてと、治癒魔法

 2回戦だ。

 相手はなんとカソードだ。

 生徒会長のアノードとの戦いを見ている限り、敵ではないがな。

 だが、油断しないで行こう。


「きゃー、カソード君、頑張ってぇ」

「こっち向いて笑ったわ」

「カソード君が手を振ってる」

「馬鹿ね、私に手を振ってるのよ」


 カソードはもてるんだな。

 生徒会長のアノードほどではないが、確かに美形だ。


「準備はいいか。では始め」


 始めの合図と共にカソードが接近してきた。


「行くぞ。俺の拳は痛いぜ。【水球生成】」


 水球をボクシングのグローブの様に右手の拳に纏っている。

 やばい、俺は運動神経が良くない。

 バリアの魔道具を起動する。

 そして。


「【火球生成】」


 火球をカソードの頭上に出す。

 カソードは右手でアッパーカットして、火球を打ち消した。


「ならば【電撃生成】」


 カソードの体の近くに10個の電撃を発生させた。

 今度はカソードは左手でパンチを放ち電撃を消して回った。

 んっ、魔道具かな。

 電撃を消すのかな。

 どういう仕組みだろう。


 やばい、カソードに接近を許してしまった。

 手の内がばれている。

 なんてな。

 まだまだ切り札は沢山ある。


 カソードが腰に付けられた魔道具を触った。

 何だ、発動失敗か。


「タイト、後ろ!」


 マイラの声で事態を悟った。

 俺は背後に魔道具でバリアを張った。



「【石の礫、100連発】。どうだ決まったか」


 切り札の一つである石の礫100連発をお見舞いした。

 カソードはもろにそれを食らってしまった。

 観客の女の子達から黄色い悲鳴が飛ぶ。


「ちょっと、痛い。魔法を止めてくれ」

「勝者、タイト」


「悪い悪い」


 俺は慌てて魔法を止めた。

 今回の魔法を解説すると。


extern MAGIC *stone_make(float mana);

extern void magic_straight(MAGIC *mp,char *orbit,int orbit_size);

extern void magic_move(MAGIC *mp,char *orbit,int orbit_size);

extern int mclose(MAGIC *mp);


void main(void)

{

 char orbit[10]; /*軌道データ10センチ分*/

 int i;

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/


 for(i=0;i<100;i++){

  mp=stone_make(0.000001); /*小石を作る*/

  magic_straight(mp,orbit,sizeof(orbit)); /*真っ直ぐの軌道データを入れる*/

  magic_move(mp,orbit,sizeof(orbit)); /*小石を10センチ動かす*/

 }

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

}


 小石を10センチ動かした後は惰性で飛ぶ。

 マシンガンの様に小石が吐き出される魔法だ。


 それよりカソードがちょっと痛々しい。

 石の礫に散々打たれて肌が所々赤くなっている。

 特に左右の腕は酷い。

 血が垂れている。

 すまんカソード、やり過ぎた。

 治してやりたい。

 それで魔法だ。


#include <stdio.h>

#include <stdlib.h>

extern void time_wait(long time_ms);

void main(void)

{

 FILE *fpi,*fpo; /*体の定義*/

 int i;

 fpi=fopen("ソチカクラシイ.body","r"); /*カソードの体を読み込みでモードで開く*/

 fpo=fopen("temp","w"); /*仮の体を書き込みで開く*/

 i=getc(fpi); /*体のデータを入力*/

 while(i != EOF){ /*体のデータが終わるまでループ*/

  if(i & DAMAGE_FLAG !=0){ /*傷か判定*/

   i=i-DAMAGE_FLAG; /*傷なら治す*/

  }

  putc(i,fpo); /*仮のデータを出力*/

  i=getc(fpi); /*体のデータを入力*/

 }

 putc(i,fpo); /*仮のデータを出力*/


 fclose(fpi); /*閉じる*/

 fclose(fpo); /*閉じる*/

 system("copy temp ソチカクラシイ.body"); /*出力した仮データを体に上書き*/

 system("del temp"); /*仮データを消す*/

 time_wait(6000); /*1分間待つ*/

}


 こんなのでどうだ。

 実行してみた。

 嘘の様にカソードの出血が止まる。

 魔法が解除されると傷が元に戻るかと思ったが、そんな事はないようだ。


 足すのと引くのでは効果が違うようだ。

 筋力の時はは無理やり増やしたからだな。


 出血は止まったが、傷跡は残った。

 この方法では損傷部位などは元に戻らないみたいだ。

 あくまでも応急処置といったところか。

 こうして、順位戦3日目は終わった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る