レディイザベラという淑女

ノックにより、ボクは思考を停止させねばならなかった。

友のふざけた手紙に文句をつけたくとも本人は行方不明で、手紙には死んでいると告げている。

情報が断片的で少な過ぎる。

まずはに注視すべきだろう。

手紙をひきだしにしまった。

……このタイミングの良さからがした。


「はい、どちらさまでしょう? 」

『初めまして。わたくし、イザベラ・ヘルミールと申します。こちら、さまがいると伺いました』


ヘルミールと聞いたら、無下には出来ない。

ヘルミールと言えば、有名な貴族さまだ。

お得意さまにもなりうる。

引き受けるかは話を聞いてからでも大丈夫だろう。

ボクは安易に考えてしまった。

……既にに巻き込まれているとも思わずに。


「本日はどのようなご用向きでしょう? 自分で言うのも何ですが、探偵とは言っても道楽に近い冒涜レベルなものですよ」


なけなしの安い紅茶を彼女の前に置く。


「ご謙遜を。……警察の方々から信頼に厚いと伺いましたわ。カナリア・レイドールさま」

「変わり者の聞き間違いをされたのでしょう」

「レイドールさま、。レオルド・ポートワーグさまを」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る