第77話 一次試験の夜

「夕陽」

「なぁに、先生」

 試験が終わって、先生のマンションで、いっぱいいっぱいえっちして。 もう、二十二時。 帰りたくない。



 私たちは、リビングの猫脚のソファにいる。 先生は、黒いガーターベルトに黒いストッキング、マゼンダのガウンを羽織って。 

 私は裸で、膝枕をしてもらってる。 羽毛布団を、上から掛けてもらう。

「夕陽は私の事、好き?」

「大好きだよ。 いちばん好き。 いちばん、大切」

 先生の顔を見上げて、答える。

 恥ずかしくて、照れくさくて、膝枕してもらってる、先生のあそこ……。 ガーターベルトだけ着けて、パンツを履いてない、えっちすぎる、つるつるできれいなそこを、ぺろっと舐める。

 お互い、今日は何回もいきまくった。 先生のそこもいつもより敏感になっていて、腰、ぴくんとする。

「悪い子。 悪戯っ子だわ」

「えへへ。 知らなかった?」

 二人、くすくす笑う。 幸せ。

「ね、金曜の晩、泊まりにいらっしゃいよ」

 車の中でも、言われた。 一旦、遠慮したけど……。

「うーん……。 勉強……。 二次試験、あるし……」

 先生は、ほっぺを膨らませる。 私のほっぺたを、指でむにゅっとつまむ。

「何よ。 来ないの?」

 えっ、か、かわいい。 来て欲しいのかな?

 わざと、受験生ぶってみる。

「お泊りすると、勉強絶対できないもん…」

「一晩くらい、平気よ。 今週は月曜から金曜の朝まで、一日一時間ずつ長くやりなさい」

「むちゃくちゃだ」

 先生の腰に、腕を回す。

「泊まりに来て欲しいの? 先生」

 先生は、私の髪を撫でる。

「当たり前でしょ。 一緒がいいわ。 セックスしたいし、もしあなたが疲れてるなら、しなくてもいい。 一緒がいいわ……」

 さらさらと、私の髪を触る。 先生は、私の髪が好き。 いつも、きれいって言ってくれる。

 先生。

 私の先生。 かわいい、私だけの先生。

「じゃあ、泊まっちゃおうかな。 ママ、いいって言うかなぁ」

 先生は目を細めて、嬉しそう。

「言うわよ。 今日自己採点してみたら、全部九十点以上取れたって言いなさい」

「むちゃくちゃだ……」



「夕陽」

「なぁに、先生」

 ほっぺた、ふにふに触られる。 先生の、細くて長い、きれいな指。 冷たい、指。

「好き……」

「えへへ。 私も」

 また、あそこにキスをする。

 秋の日に、私が先生のつるつるのそこに大興奮しちゃって(前から時々、気分でやってたらしい。 えっち)。 それからはもう、クリニックで脱毛し始めたんだって。 いいなぁ……。 私も、ずーっとつるつる、やりたい。 お揃いだし、えっちの時、気持ちいい気がするし……。

「ずうっと一緒がいいわ」

「私もだよ。 あのね、時々、考えるの」

「どんなこと?」

「えと……。 おばあちゃんになっても、一緒がいいなって……」

 先生は、やさしく微笑んでくれる。 なんか、恥ずかし……。 私は照れ隠しで、続ける。

「おばあちゃんになっても、先生、おしゃれできれいなおばあちゃんだよ、絶対。 私も、かわいいおばあちゃん目指さないとね」

「まあ。 素敵だわ。 手を繋いで、お散歩したいわね」

 えへ……。 そんなの、最高。

「私、ラッキーだね」

「ラッキー? どうして」

 そんなの、決まってるじゃん。

「あのね、まだ、高校生なのに、一生一緒にいたいくらい好きな人を見つけちゃったから。 それって、すごいでしょ」

「ま……。 何てこと。 すごいわね」

 先生、にこにこになって、かがんでほっぺにキスしてくれる。

「私も、見つかって良かったわ。 一生、一緒にいたい相手。 少し時間がかかったけれど」

「えへへ。 全然、若いでしょ。 だって、あと六十年くらい、一緒だよ」



 先生は、私を膝の上に座らせる。 向かい合って。 私は肩から、お布団掛けたまま。

「ね、もう一回だけ、くっ付きたいわ。 あなたをお家に帰す前に」

「うん。 しよ。 そしたら、帰るね。 一週間また頑張って、金曜日、またお泊まりする」

「いい子ね。 本当に、いい子。 頑張り屋さん。 大好き。 夕陽、大好きよ」

 そう言って、先生はキスをする。 それはやさしい言葉と裏腹に、私を食べるみたいな、えっちなキスだった。

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