第51話 合格点


 ちょん、ちょん。 後ろから、ほっぺをつんつんされる。

 振り向く。 むにゅ。 キャスター付きの丸椅子に座って、先生が、にこにこしてる。

 でも、これは……先生じゃない。 おりえちゃんだ。

「どしたの、おりえちゃん」

「鍵、かけちゃったわ」

 放課後の、保健室。 私は、勉強させてもらってる。 分からないところ、先生に聞きたくて。

 二学期に入ってからの私は、真面目そのもの。 授業を抜けて来ることはなくなったし、放課後だって、ほとんどえっちな事はしていない(週末は、泊まりでめちゃめちゃ、してる)。

「冬服、かわいいわね」

「ふつうだよ」

 夏の衣替えの時も、同じような事言った気がするな。 それも、今回で終わり。 もう、夏のセーラー服を着る事はない。

「かわいいわよ。 とっても、似合ってよ」

 背中から、きゅっと抱かれる。 胸、揉んでくる。 先生ってば。

「おりえちゃん。 今日は木曜日、勉強。 明日は金曜日、お泊まりの日だよ」

「だって」

 先生、眉根を寄せて、自分の人差し指をちゅっと咥える。 あ、あざとい……!

「したいわ」

 うっ。 私だって、したい……。

「だめっ。 明日、小テストなの。 先生なら、分かるでしょ。 満点、取りたいの」

 机に、向き直る。 心を鬼にする。 夕陽、強くなってる。 成長してる。 受験生の自覚。 えらい。

「分からないわ。 大してやらなくたって、満点取ってたもの」

「くっ。 かわいくない」

「かわいくなくて、ごめんなさいね」

 また、背中から、ぎゅっとされる。 先生の左胸、心臓が、早くなってるのが分かる。 ……かわいい!

「もう! 悪い先生」

 小さい声で抗議して、振り向いて、抱き付く。 舌を出して、キスをする。 二人、椅子に座ったままで。



「赤点取ったら、どうすんの。 おりえちゃん。 私、真剣なのに」

 ベッドに移動して、寝転がって、唇を触れさせながら、喋る。 先生は、くすくす笑う。

「どうしましょうね。 赤点取って、進学もできなかったら、ずっと、うちにいたらいいわ。 美味しいご飯作って、私の帰りを待っていて。 そしたら私、頑張って時間内に仕事を終わらせて、毎日、定時で帰るの」

「縁起でもない。 私、先生になって、おりえちゃんと一緒に働くんだもん」

「ふふ。 そうよね。 でも、同じ学校になったら大変よ。 授業のない時間、ずっとここに閉じ込めちゃうんだから」

 全部の指をきゅっと絡める。 もう、先生、好き。 ほんと、大好き。

「ねえ、さわって」

 先生は、胸を突き出す。 薄いシフォンの黒いブラウスに、カーディガンを羽織ってる。 薄いシフォンの、黒いブラウスの下に……。

「ブラ、してないじゃん!」

「ふふ。 びっくりした?」

 え……えっち……! そして、頭がおかしいよ!

 私は、つんと立ってるそこに、頬擦りをする。

「あん、えっちね」

「えっちなのは、先生だよ。 えっちすぎ。 変態」

「ご挨拶ね。 おっぱい、好きなくせに」

 好き。 先生のおっぱい、きれいで、気持ち良くて、かわいい声が出るから、大好き。

 ほんとは、薄いシフォンのブラウスごと、舐めたいけど…。 そこだけ濡れてる服着て帰るの、本物の変態になっちゃうからね。 ボタンを外して、でも待ちきれないから、上の4つだけ外して、むしゃぶりつく。

「ああ……」

 先生が、小さく声を出す。 白いきれいな首、のけぞらせる。

「おいしいよ」

「そんなこと、言って」

 ほんとだよ。 先生。 これ、大好きなの。 先生の、かわいいちくび。 舐めれば舐めるほど、喜んでくれる。

 ちゅ、ちゅ、って、唾、いっぱい付けて、しゃぶる。 私もスカートの中、気持ちいい。

「あ、あ、いい。 夕陽、上手。 だいすき」

 私の頭を撫でながら、小さな声で、夕陽、だいすき、と繰り返してくれる。

「上手になった? おりえちゃん」

「上手よ、すごく、気持ちいいの」

 意地悪して、ちょっとだけ、ぐ、と歯を当てる。

「うっ…。 い、いいっ」

「おっぱいにやらしいことするの、合格?」

「なに、それ…。 ばか。 百点よ」

 こっちで百点なら、まあいっか。

 ……いや。 受験に、おっぱいの科目、ないからな。

 今日は、帰ってから勉強しよ。 ちょっとだけそう考えて、また、目の前のきれいなもの、存分に味わうことにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る