第15話 同じところ、違うこと
「先生、今日は、提案があります」
「まあ。 何でしょう」
先生は、白いシルクのパジャマ。 いつものカップで、白湯を飲みながら応える。
ここは、先生のマンション。 もう、土曜日は、ママに「図書館で勉強して来る!」って言って、勉強道具持って、毎週来てる。 勉強も、一応してる。 わからないところを、先生に教わりながら。
「あのね。 あと一時間頑張ったら、お喋りしたい……」
この場合のお喋り、とは。 ちゅーして、とか、さわって、とか、きもちいい、とか。 そういう事を私が言ったりするタイプの、お喋りです。
「いいですよ。 今日も、頑張ってます。 朝八時に、ここに来て。 まるで学校です」
ふぁ、と先生は欠伸をする。 朝八時に、元気いっぱいピンポン押して、ここに来てごめんなさい……。 先生、今朝はちょっと、眠そうだった。 パジャマで出てきたし(寝起きもぜーんぜん、きれいだったけど)。
「一時間、がんばった! えらい!」
大声で、アピール。 先生、見てる?
「寝てるし」
昨夜、遅かったのかな。 毎日きっと、疲れるよね。 朝早くから、遅くまで。
先生の寝顔、きれい……。
私は、先生の頬っぺたにそうっとキスをする。 そして、唇にも。
まだ、起きない。
ちゅ、ちゅ、と、何度も唇をくっ付ける。 私の息だけ、浅く、早くなってくる。
「キス、好きね」
先生が、私をぎゅっとする。 起こしちゃった。
「うん。 好き。 先生とするキス、大好きなの」
私は、先生の首に腕を回して、またキスをする。 起きたなら、大人のキス、したい……。
私から、舌を入れてみる。 先生は、私を迎え入てくれる。 うれしい。 気持ちいい。 えっちだね。 興奮する。
「ねぇ、提案って、なんですか」
唇が離れた時、先生が聞く。 私が、一時間前に言ってみたこと。
「あのね。 いつも、してもらってばかりだから。 今日は、私が先生のこと、よくしてあげたいの…」
先生は、目をぱちくりさせる。 少し間があって、
「まあ」
と、言う。
「そんなこと、考えてたのですか」
考えてたよ。 いつも、気持ち良くしてもらってばっかりだもん……。 お返し、させてほしい。 ていうか、してみたい。
「先生、私、先生のそこ、さわるね」
パジャマの下、ショートパンツに、手を伸ばす。 でもその手は、先生にぱしっと捕まえられてしまう。
「先生は、大丈夫です。 してもらわなくても、いいの。 大丈夫よ」
す……すごい力。 負けないぞ。 私も、腕に力を入れる。
「す、するもん。 さわる。 お返し、してあげるから」
「本当に、大丈夫です。 お気持ちだけで、じゅうぶんです。 優しいのね。 ありがとう」
先生のパンツの中を巡って、私たち、腕をぐぐぐっと押し合って、プロレスみたいになっている。
「さわりたい……。 さわらせて……」
「結構です……。 十年、早くてよ」
むっ。 なによ。 私は、顔を先生の胸元に、ぐりぐりする。
「何で、させてくれないの。 私だって、先生のこと、気持ちよくさせられるもん。 いつもしてもらってるから、やり方、分かるもん」
先生は、ふうっとため息をつく。
「あのね。 先生は、あなたにしてあげている時が、一番気持ちいいの。 されても、だめなんです。 くすぐったいだけで。 わかってね」
そうなの?
「してもらう方が気持ちよくないなんて、変なの…」
「人それぞれでしょ。 私は、あなたに、してあげたいの。 それが、気持ちいいのです」
「じゃあ……してください。 今日も」
そして、今日も、いっぱいいっぱい、先生の細くて長い、素敵な指で気持ち良くしてもらった。
だけどいつもと違ったのは、私が最高に良くなりそうだった時、先生が「ほら、先生も、こうなるの」って、私の指をそこに案内してくれたこと……。
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