15話目
「でもねぇ、コウくんの居場所探したんだよ?」
レンは伸びをしながら言うと「はぁ…」とため息をついた。
「見つかったんだけどねぇ…」
レンは困ったように笑った。
アイはキョトンとして
「見つかってるなら、会いに行けばいいんじゃないの?」
と不思議そうに尋ねた。
レンはアイをじっと見つめると笑った。
「それもそうだね!行ってみよっか!」
そう言い、アイの家を出た。
「どうやって見つけてるの?」
アイが尋ねると、レンは「ふっふっふっ」と得意げに笑った。
「魔法だよ!ボクのできる範囲で、だけどね!あの不思議な世界でのことを覚えていれば簡単さ!」
レンが楽しそうに言うと、アイはムッとし
「つまり…どういうこと?」と尋ねた。
レンは手を前に出し「あ、いや企業秘密」と断った。
アイは更に不機嫌な表情になると
「もういい。さっさと案内して。」と言い、顔を背けた。
「あっはは!ごめんごめん!」
レンは笑うとアイの手をとり「ついてきて」と微笑んだ。
暫く歩くと、大きな建物についた。
アイは建物を見上げると「ここって…」と声を漏らした。
レンは寂しそうに笑った。
「うん。そうだよ。コウくんはね…」
「病院に、居るの…?」
レンの言葉を遮るように、アイが言った。
レンは「うん、ここに入院してるらしいよ」と言うと「友達ですって言ったら入れてくれるかな?」と首を傾げた。
「…レンの魔法でどうにか入れない?」
アイは、レンの手を引っ張り、まっすぐ見つめて言った。
レンはキョトンとすると「はは、それでいいの?」と困ったように笑った。
「いいの。確実に入れれば。」
アイが少しムッとして言うと、レンは「まっかせて!」と笑った。
そして、アイとレンは人気の無い所へ行った。
すると、レンはどこからか杖を取り出し、目を閉じた。
笑ったまま、何かを唱えている。
残念ながら、その声はアイには聞こえないようだ。
瞬きをすると、そこはもう病院の中だった。
「転送魔法だよ」
驚いているアイの隣でレンは微笑んだ。
「さ、行こっか。場所はわかってるから。」
「これって…バレない?」
「ボク達の姿を見えなくしているからね!大丈夫大丈夫〜」
アイが不安そうに尋ねると、レンはヘラヘラと笑って答えた。
レンは、ひとつの病室の前で立ち止まった。
「ここかな」
そう言うと、扉を開けた。
そこには…
「コウ……」
そこには、ベッドで眠っているコウが居た。
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