1日前

 俺はミコに小声で告げる。

「お前だけ逃げろ。ここは俺に任せて先に行け」

「そんなことできない! できるわけない!」

 ミコが泣きじゃくっている。ずいぶん豊かに感情を出すようになったじゃないか。

「大丈夫だ。俺は最強なんだろ?」

「うん……」

「俺を信じてくれ。後で必ず追いつく。帰ったらまた一緒に爆弾を作ろう」

「絶対……絶対だよ!」

「もちろん」

 ミコが見えなくなるのを待った。

「待ちくたびれましたよ。小さな恋人とのお別れはもう済んだので?」

「ケツの穴の小さい奴め。ミコはな、恋人なんかじゃない、同士だ!」

「ハッハ、どうでもいいことです。はやく例のブツの在り処を言いなさい」

「断る」

「なんだと……?」

「ここがお前の墓場だ」

「……まさか」

 俺はコートを脱ぐ。ダイナマイトがびっしりと巻きつけられている。ミコと一緒に作ったものだ。

「何ッ!?」

 導火線にタバコで火を付ける。

「地獄で会おうぜ、ベイビー」

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