薔薇色の日々

鯵坂もっちょ

1日後

 何回か見かけたことはあります。見かけたというか、外出の時間が同じになれば挨拶くらいはします。隣なんで。それは。

 でも本当に挨拶だけですね。おはようございます、って。向こうは特に会釈だけってことも多かったですけど。そんな人があんな事……びっくりですね。


 印象は……そうだな、やっぱり、地味というか。目立たなそうというか。そんな感じですね。

 真面目そう、という感じでもなくて、色も白いし、髪も伸びっぱなしだし、まあ言っちゃ悪いですけど暗いというか。いん……あの、はい。って感じでしたね。


 どうなんですかね。ちょっとわかんないですね。

 あんなに近所に大学あるから、ここってほとんど学生寮みたいな感じなんで、まあそういう意味では大学生だったんだとは思います。見た目中学生ってもおかしくない感じでしたけどね。


 大学ではそうですね、会ったこともないですね。たぶん。だからおないなのかな? それもわかんないです。


 声は結構しましたね。楽しそうでしたよ。

 やっぱ今年入ってからもほとんどオンライン授業だったんで、僕もずっと部屋にいるし、そうするといつも聞こえるんですよ。

 内容まではわかんないけど、喜んだり、たまに大声あげたりしてる感じなのは聞こえてましたね。


 気には……そうですねえ、でもこっちも彼女と通話とかよくしてるし、お互い様なんで。

 いやまあでもやっぱりなんなんだろうな〜とは思ってましたね。外で顔見るとあんなにつまんなそうというか世界に絶望してるような顔してたのに、部屋ではあんなに楽しそうなのすごいね? って。


 いそうな感じには見えなかったですね。ネット上にはたくさんいたんじゃないですか。友達。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る