何故そこに...
「ただいま」
あれから20分かけてようやく自分の家に戻ってきた。朝腕が痛かったにも関わらず、こんなに歩いて大丈夫なのだろうかと思ったが、今はあの人達のおかげで痛みがないのであんまり気にしないことにした。
.......
「?」
いつもなら凛が挨拶してくれるのに、返事が返ってこない。
「いるはずだよな....」
不思議に思い、ふと考えてみる。
「帰ってくるのが少し遅かったかな」
本来コンビニに行って帰って来るだけなので10分ぐらいで帰れるが、俺はこの家を出てから50分程経っているので、それにしびれをきらした凛が俺を探しているのかもしれない。あくまでの予想だけど。
「凛~いるかー」
「zzz」
「寝てるのか」
そこには、洗濯物を畳んでいる途中で寝てしまったような少女の姿があった。無理のある姿勢だったので、凛の部屋に連れていきぐっすり眠らせよう。
「俺がいない間に....いつもありがとな」
普段は照れくさくて言えない感謝を伝えその体を持ち上げる。
「はぁ、妹が頑張ってん中俺は何やってんだかなぁ」
妹が家事を頑張ってる中、兄貴は優雅に後輩とコーヒーすすってるんだもんなぁ。本来の目的よりも倍以上時間を喫茶店に使ってるので、罪悪感しか感じられない。
「どうか、こんな兄貴みたいにならず、お前はそのままの状態で成長してくれ」
寝ている凛に向かって、呟く。
「でも、胸だけは、もうちょっと成長したほうがいいのかなぁ........ごふっ!」
ちょっと口を滑らしたら、寝ていた凛から強烈な右フックが飛んできた。
「別にちょっとうたた寝してただけだし、後胸の話は余計だぁぁぁ」
口は禍の元である。そう妹に言われ只々呆然とするしかなかったのだ。凛はその後自分の部屋に入りいつまで経っても出てこず。ご飯の時間に近くなると、やっと出てきて夕食の準備を始めたのであった。
「あのぉ~凛さん。二人分にしちゃ少なくないですかねぇ?」
「知らない、ていうかこれ私の分だけだし」
あちゃ~あの発言で怒らせてしまったな。
「あの発言のことは謝るから頼む飯作ってくれ」
「あの胸の話?あんな事別に気にしてないけど、今日たまたま買い物いけなくて、食材少なくってさ。まぁ、本当は刹兄の分も作る予定だったんだけど、まぁ何というか罰的な?夕飯抜き、断食って感じ」
そういえばコイツそんな女らしいことは一切気にしないタイプだった。
「お前に謝ろうとした僕がバカだった。いいよ今日の夜ぐらい我慢してやる」
「ごめんねぇ、刹兄」
その謝罪には全く持って、誠意はこもっておらず、数時間前にこの妹のことを誠実だとか言ってた俺を殴りたい。凛に呆れながら、自分の部屋に向かっていった。
「ありゃちょっといじめすぎたかな」
妹の最後の言葉は聞き取れず、部屋の扉を閉めた。
それからというものあっという間に時間がたち、もうそろそろで12時になり、寝る準備をしていた所だ。
「にしてもあの痛みは一体なんなんだろうな」
そうあの赤毛の人とすれ違った瞬間、まるでもう一個の人格が形成される感覚に陥った。
「あの人と痛みなんか関係があるのだろうか」
もしそうならあの人達はただものじゃない気がする。それにもう一個不思議な点がある。
「あの女の人の回復」
女の人が、手をかざしただけで止血していた。ゲームやアニメに登場する魔法の類の話になるレベルで傷が癒えていった。
「本当に凄い人らだ、今度あったらお礼でも....」
まて、次合ったらまた暴走してしまうのではないか。そんな不吉な予感が脳裏によぎった。
「いや、今度こそちゃんと話さなくっちゃだめだ」
今日のはいきなりのことでびっくりしたけど、次合うときは意識をはっきり保たなくては、そう決意しながら明かりを消し、ベットへと入り込ん
だ。
「お腹すいた~」
時刻は深夜の二時、凛が寝静まったころに俺は空腹の絶頂に耐え切れず、起きてしまった。
「冷蔵庫になんか入ってたっけなぁ」
そう言いながら、おぼつかない足取りで冷蔵庫へと向かった。
「そうだった、無いっていってたじゃんか」
冷蔵庫を開けてみると、ものの見事にすっからかんで、今日の夕食の時間に妹に無いと言われていたのを寝ぼけていたせいで忘れていたのだ。
ぐう~
「どうしようこのままじゃ餓死してしまう」
でも、家にはもう食糧はないし...
「はぁ、面倒くさいけどコンビニで買ってくるしかないか」
そういいながら、素早く着替え、夜の静寂した街中、街灯だけを頼りにコンビニへと向かったのだった
「今日...昨日からか、人を見かけないな」
それもそうである、深夜の二時にであるいている奴なんて、よっぽどの暇人か、不審者だけだろう。少なくともそこに俺は該当していない、強いて言うなら、暇人の部類である。
「て言っても、今日は学校があるしなるべく早く帰ろう」
そういって、歩くスピードを少しばかリ早めた。
昨日と同じ道、同じ景色の中一つの違和感を覚えた。
「やけに公園の方が騒がしいな」
公園とはあのクレーターのある公園のことで、そこから男性と女性の声がする。何を喋っているかまでは聞き取れないが、二人いることに間違いはない。
「少しのぞいてみるか」
この時間帯に公園にいるのは、ロクな奴らじゃないと知りながら、自分の好奇心を抑えられるはずもなく...
「どれどれ....」
そういってやや隠れ気味になりながら、公園へと近づき、目標を視界に入れようとした。
「!!!」
その目標を見た瞬間に悪寒がした。俺がその緋色の髪の男性と水色の髪の女性を見間違えるはずがない、いたのは紛れもない、昨日俺を助けてくれた人達だった。
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