拘束プレイとワールドイベント開始
それからしばらく経って、ワールドイベントの開催される当日となった。
「優勝目指して頑張るぞー!」
「おー」
アカと私はそう言って腕を掲げた。
「さてと、イベント直前で申し訳ないけど、調べてきた情報を渡します」
「うん」
「まず、宝についてね。宝だけど、たぶん宝箱に入ってると思う」
「宝だもんね。入ってそうだよね」
「うん。それに、なんの目印もないとかありえないからね」
まぁ、なんの目印もなかったら探しようがないからね。
「それで、宝箱に宝が入っているとして、宝箱にはたぶん、目に見えて明らかなランク付けがあると思うの」
「どうして?」
「その方が奪い合いが白熱して盛り上がるから」
あぁ。確かに目に見えて明らかなランク付けがあった方が、熱中しそうだ。
この宝は俺のものだーって。
「ま、あとはプレイヤーの期待値の操作とかかな。レアな宝箱見つけたらワクワクするでしょ?」
「うん」
「それでね。ランク付けがあったとして、そのランクはたぶん。上から魔鉄、金、銀、銅、鉄、木の順番で高ランクだと思う。でも、魔鉄に関してはあるかわかんない」
魔鉄ってたしか、魔力を含んだ鉱石だっけ、黒いって聞いたけど。
「どうしてそーゆーランクの付け方なの?他にもランクの付け方あると思うけど」
数字とか、色とかね。
「冒険者のランクに対応させてるの」
「あー。なるほどね」
冒険者には、ランクがある。
上から魔鉄、金、銀、銅、鉄、木だ。
私は今のところ木。
「んで、冒険者ランクに対応させたのは、ちょうど、イベントの告知がされた時のランクごとの冒険者の総数が、キリが良かったからなの」
「ん?しらべたの?そんなことまで?」
「しらべたのは私じゃないけどね」
へー。色んなこと調べる人いるんだなぁ。
「木は五千。鉄は千。銅は二百五十。銀は百。金は十。魔鉄は一。ただ、この冒険者の数はあくまで、始まりの街にいる冒険者の数ね」
「結構いるんだね」
「NPCも含まれてるからね」
なるほど。
「それでね。魔鉄の冒険者は今この街にいないの。なんでも依頼でどっか行ったんだって。イベント告知の時にはいたけど、その後どっか行った。今回イベント用に用意される空間のコンセプトダンジョンらしくてね。全部で5階層。ちょうど魔鉄を除いた冒険者ランクの数と同じなんだよね」
「全部仕組まれたみたいにぴったりだね」
「うん。だから、もしこの仮定があってるなら、私たちは優先的に金の宝箱を探さないといけない。特に、5階層には沢山眠ってる可能性が高い」
ふむふむ。冒険者の数とおんなじなら、金の宝箱って十しかないもんね。
かなり激しい争奪戦になりそう。
特にこのイベント、プレイヤー倒すと宝ドロップするからね。PK増えるだろう。
「んー。優勝狙ってガチるの?」
「……私一人ならガチるけど、プリンと一緒なら、出来ればいーなーって程度の認識で、優勝するためにガチでゲームはしないかな」
「いいの?別にガチってもいいんだよ?」
「いや、優勝するよりプリンとゲーム楽しむ方が優先順位高いし。優勝はおまけでいーよ。できるとも思ってないし」
「あれ?そうなの?アカなら出来そうだけど」
「数的不利があるからねぇ」
あ、そっか。私たちは2人だけど、最高で6人までならパーティー組めるもんね。
数が違えば負けるのもうなずける。
「ま、だから。今回はエンジョイするつもりだよ」
「そっか、わかった。全力で楽しもうね!」
「うん!」
そんなこんなで、イベント開始の時刻が迫ってきた。
『さあさあ!皆さんやって参りましたワールドイベントのお時間です!皆さん優勝目指して頑張ってください!』
そんな言葉と共に現れたのはちっさなしろくまさんだった。
「あ、白熊だ」
「このゲームの運営は自分が作ったモンスターを元にこの世界に来るからね。あの運営は白熊作ったんでしょ」
「へー」
なんかいいよね。自分の作ったキャラがゲームに出るの。
『もちろん!優勝したパーティーには豪華な賞品をプレゼントします!が、優勝したチームだけでは可哀想なので、10位まで!賞品あげちゃいます!やっさしい!』
なんか、大盤振る舞いだね。イベント中手にした宝はもちろん。追加で賞品も貰えるとか。
『さて、皆様イベントのルールはご理解頂けていると思いますので、ここでは説明致しません!ルールを知らぬままイベントに参加する酔狂な方もいますので』
「そんな人いるんだ。不利なのにね」
「まぁ、その不利な状況で勝つのがいーんでしょ」
「気持ちは分からなくもないけどねー」
『さてさて!それではそろそろ、ワールドイベント、宝探し。開始です!皆様、開始のカウントダウンをお願い致します!』
『「「「「3!!」」」」』
『「「「「「「「「2!!!!」」」」」」」」』
『「「「「「「1!!!!!」」」」」」』
『開始』
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