拘束プレイと奥の手
結論。私は笑っちゃいけない。
ということになった。
かなしい。
戦闘中に私が笑うとなんかエロいというか、猟奇的?嗜虐的?流石に猟奇的は言い過ぎだけど、そんな感じらしい。
そんな私の笑顔に反応した変態共が盛り上がり、私の印象は悪い方へ向かう。
だから笑うなと。
このことをアカに言われた時は少し泣きたくなった。
なんだよ。一介の高校生を捕まえて、エロいから笑うなとか言いやがって、セクハラだぞ。こんちくしょう。
「出来る?ライブ配信中笑わないの」
「よゆうです。はい」
むしろ笑いたくても笑えないです。はずかしいので。
「次は南の泉に行くんだけど、そこでは大きなカエルと戦うの。カエルってだいじょぶだっけ?」
「問題ないね。爬虫類はむしろ好きだよ」
「ならいいね。それで、出来そう?笑わないの」
失礼だな。そんな心配そうに聞くことでもないでしょ。笑ってはいけない24時でもないだろうに。
「笑わなきゃーいいんでしょ?」
「うん。ずっと寝起きでいてね」
「わかった」
要はさっきみたいに余計なことしなきゃいいんでしょ。
あれのせいでなんか変なことになったんだし。
「よし、今度こそ白い死神を定着させる」
「がんばろうね」
「ん」
私が完全に寝起きモードに入ると、アカが配信を再開した。
[どったの?とらぶる?]
[見せられないことあった?]
[プリンちゃんの笑顔じゃね?未成年にはちょっと]
[草]
[次は南かな?]
[どうせ瞬殺]
[がんばー]
「では、次は南行きますね」
[おけぃ]
[お手柔らかに]
[次はなんか面白いことしないの?]
[面白い要素追加たのむ]
[おい!これ以上化け物にするな!]
[やめてくれ。ただでさえ勝てる気しないのに]
そんなコメントに、アカが顎に指を当てて悩む。
「んー。私は結構手の内見せてるし、できないことは無いけどー。奥の手は見せたくないし……プリンなんかある?」
「……きんせつ」
ちょっと前に思いついた近接戦闘方法があるけど。あんまり手の内晒すのもなぁ。
[は?]
[近接とおっしゃいました?]
[銃持ってるじゃん?]
[え?プリンちゃんのステ極振り予想だったんだけど]
[なんでも出来すぎて]
[くそ、なんだ。どうなってる]
コメントはもちろん荒れたが、アカも慌てていた。
「え?私聞いてない。しらない」
「……ん」
言ってないもん。
「後で教えてね」
「ん」
[よし、怖いけど楽しみだ]
[どうやって戦うんだろう]
[どんなもんでもかかってこいや!]
「……ん?」
何を言ってるんだろう、この人たちは。
「おしえない」
「まぁ、イベントも近いからね。教えないよね」
そゆこと。なんでもそろそろイベント、それも私が参加したサバイバルイベントよりも大きなイベントが開催されるらしい。
その時のために見せないよ。
[なんですと!?]
[くっ。プリンちゃんなら言うかと]
[しっかりしてる]
[ま、言わないのが普通だわな]
[でも、ちょっとなら対策も……出来ないな]
「というわけで、配信切りまーす」
アカが笑顔でそう言った。
「なんで!?」
[ひどいぞ!]
[ちょ、ちょっと?]
[どうしてきるの!?]
でも、ほんとどうして配信切るんだろう。急だよね。
「……はやくね。私がプリンの奥の手みたいの。カエル倒した後じゃ遅いの」
[そんな!]
[プリンちゃんからも言ってやって!]
[横暴だ!]
[まだ見てたいよ!]
[プリンちゃんからも説得して!]
「配信切るけどプリン、なんか言いたいことある?」
「……ひとこと」
[待ってました!]
[ガツンと言ってやってください!]
[どうか我らに希望を!]
[プリンちゃん!]
「……ばいび」
ブチッ。
配信が切れた。
「あははっ。いやー。視聴者が
どんな顔してるか見たかったなぁ」
「そろそろ寝そうだったから。配信終わるってのは好都合」
「それにしてもちょっと可哀想」
「???」
「あぁ、無自覚か、まぁそうだろうね」
なんのことだろ。私普通にさよなら言っただけだよね……まずいことした?コメントはよく見てなかったから、状況はよくわかんなかったんだけど。
「ま、いいや。とにかく奥の手見せてー」
「うん。いいよ。度肝抜いてやる」
アカの奥の手もちゃんと知ってるけど。絶対私の方がすごいもんね。
それから私のカエル戦で奥の手を見たアカが一言。
「すっげぇ。蜘蛛みてえ」
だよねー。私も思った。でも、強いんだなーこれが。
白熊戦の時に得た着想なんだよね。ホワイトがちょー活躍出来るすごい技。
攻防一体最強スライム爆誕である。
えへへ。アカ驚かせれたし。今度のイベント頑張るぞー。
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