空想世界とかくれんぼ ~ほんのり甘い純愛(?)を添えて~

リア

序章



 例えば、私に優しい友達がいるとする。登下校も、休み時間中も、お昼御飯もずっと一緒で、私はずっとその子と一緒にいる。だから、クラスで後ろ指を指されることも、悪口を言われる事なんてない。それは、平和な世界だった。


 けど、それは“空想”の話でしかない。現実は、残酷で冷酷だった。私には、友達がいない。友達と呼べる存在や、信頼出来る人間は誰一人として現実に存在しなかった。


 私のことを笑う人間がいた。


「あの子は、友達がいないからいじっても大丈夫」


 みんな、そんなことをいって私をからかう。次第に、私の心は醜く歪んでいった。


(私をバカにするあいつらは、私よりもバカだ。だから、気にする必要なんてない)


 いつの間にか、人を見下す癖がついていた。そうしないと、心が保てなかった。


 誰かにバカにされた時に、スカートを握ってしまう


 私のことを心配してくれる人がいた。ネットの先の、顔も名前も知らない人間。私に、いつも優しい言葉をかけてくれた。私のことを何も知らないくせに。それでも、何も知らない人からもらう言葉に何度も励まされていたことは事実だ。


 友達もいない、クラスのはしっこでただただつまらないだけの毎日を送るだけの日々。そんな日々が一転したのは、とある初夏の日だった。


「おはようございます天音さん。今日は憎たらしいくらいに天気が良くてとても気分が悪いですね」


 今、私の目の前に立っているのはネットの先の……いつも私を励ましてくれる氷斗さんネットの先の人だった。

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