第244話「後で悔いないきよう、やれるうちにやっておけ……ですよ」

ぐっぎゃああああああああ!!! ぐっぎゃああああああああ!!!


ぐっぎゃああああああああ!!! ぐっぎゃああああああああ!!!


先ほど同様、尾を斬り捨てられ、痛みに絶叫するドラゴン4体。


更に俺は、エヴラールさんへ伝えた通り、

間を置かず、尾の切断面へ、風属性の攻撃魔法『風弾』をぶち込む。


何発も何発も何発も何発も!


ぶち込む!


ぶち込む! ぶち込む!


ぶち込みまくる!!


どぐおっ! どぐおっ! どぐおっ! どぐおっ! どぐおっ! どぐおっ!

どぐおっ! どぐおっ! どぐおっ! どぐおっ! どぐおっ! どぐおっ!


どぐおっ! どぐおっ! どぐおっ! どぐおっ! どぐおっ! どぐおっ!

どぐおっ! どぐおっ! どぐおっ! どぐおっ! どぐおっ! どぐおっ!


1体につき6発、その繰り返し、4体のドラゴンへ、計24発の風弾を撃ち込むと、

身体をけいれんさせながら、ドラゴンどもの生命反応が消えてゆく。


先ほどと全く同じ。

またも既視感デジャヴュが俺の心に満ちる。


ドラゴンが死んで行く無情な光景シ-ン


しかし!

感情にとらわれ、息絶えるのをわざわざ待つ俺ではない!


すぐに次の戦闘へ気持ちと身体を切り替える。


残りのドラゴンは、……4体。


ここで、ケルベロスにかく乱させよう!


『ケルベロス! ドラゴンどもの注意をひいてくれ!』


『了解だ! あるじ!』


うおおおおおおおんんんんん!!!!


ケルベロスやや強めの咆哮。

気絶するまでは行かない。


耐性がある俺は、全然平気だけどね。


同胞を斃され、俺へ憤怒の表情、感情をぶつけていたドラゴンどもも、

冥界の魔獣ケルベロスの咆哮は無視出来ない。


咆哮を聞き、ハッとした雰囲気で、ケルベロスへ向き直る。


その動きは、俺から見れば超が付くほど緩慢。

その上、隙だらけだ。


絶好のチャンス!

好機到来!


俺は剣を振りかざし、


ずばしゃっ! ずばしゃっ! ずばしゃっ! ずばしゃっ!


残った4体のドラゴンの尾を、瞬時に斬り落としていた。


ぐっぎゃああああああああ!!! ぐっぎゃああああああああ!!!


ぐっぎゃああああああああ!!! ぐっぎゃああああああああ!!!


またも響き渡る大絶叫。


ドラゴンどもは全て大混乱!


今だ!

エヴラールさん!


と思い、エヴラールさんを見やれば……何と!


エヴラールさんは、大きく目を見開き、口をぽか~ん。

完全に呆然自失状態。


ドラゴンを圧倒する、俺のチートな戦いぶりにびっくりしてしまったみたい。


ここは、びしっ!と言うしかない。


「サブマスター、エヴラール・バシュレ!! 援護を頼む!!」


「は、は、はいっ!!」


呼び捨てにした俺の大音声を聞き、ハッとしたエヴラールさんは、剣を抜き、

『戦場』へ躍り込んだのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


ずばしゃっ! ずばしゃっ! ずばしゃっ! ずばしゃっ!


さすがは剣聖。


我に返ったエヴラールさんは、剣を振るい、俺が斬り捨てた尾の断面を攻撃。


何度もダメージを与えた。


一方、俺も尾の断面を風弾で攻撃。


そんな俺の攻撃を改めて視認。


エヴラールさんも言霊を詠唱。

俺と同じ風弾。

そして、高水圧の水弾を放った。


エヴラールさんは、風と水の属性を持つ、

複数属性魔法使用マルチプルな魔法剣士なのだ。


しかし、残念ながらエヴラールさんの魔法には俺ほどの威力はない。

攻撃したドラゴンへ『とどめ』は刺せなかった。

エヴラールさんは、剣撃の方が遥かに得意な魔法剣士なのだ。


というわけで、当然、俺がすかさずフォロー。


どぐおっ! どぐおっ! どぐおっ! どぐおっ! どぐおっ! どぐおっ!


その時点で、3体のドラゴンを倒していたので、エヴラールさんへ託したのが最後の1体。


その1体がこと切れると、俺はにっこり。


「はい、討伐完了。エヴラールさん、お疲れ様です」


対して、極度の緊張と興奮、全力を出し切ったという感じで、

エヴラールさんは息も絶え絶え。


「……はあ、はあ、はあ、はあ……お、お、お、お疲れ様です……」


「エヴラールさん、大丈夫ですか?」


「は、はあ、はあ……な、何とか! だ、大丈夫ですっ!」


「じゃあ、ロッジへ戻り、休んでください。しばらく魔物は出現しないので、ドラゴンの死骸を空間魔法で回収後、俺は作業をしますから」


「さ、作業!?」


「はい、せっかくここへ、トレゾール公地へ来たので、金塊、宝石を回収します」


「え!? 金塊、宝石を回収!?」


「だって、魔物を討伐するだけじゃ、もったいないじゃないですか? 後で悔いないきよう、やれるうちにやっておけ……ですよ」


魔物最強をうたわれる、ドラゴンを10体も倒したのに、

息も全く乱れていない俺を見て……


「はあああああ………」


エヴラールさんは、脱力し、大きく息を吐いたのである。

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