第201話「俺の嫁になる女子は皆、革鎧姿。 シルヴェーヌさんを始め、全員がひどく凛々しく見え、どきどきする」

「ふつつか者ですが……自分にとっては可愛い妹です。ロイク様、何卒、何卒宜しく、お願い致します」


早朝、リヴァロル公爵家邸内にある専用闘技場、広大なフィールドの片隅。


青々とした芝の上で、警護主任騎士バジル・オーリクさんは頭を下げていた。


そう、俺とシルヴェーヌ・オーリクさんは、バジルさんを誘い、

騎士達の輪から抜け出て、結婚報告を行っていたのだ。


バジルさんは、最初驚いた。

まさか!? という顔をしていた。


しかし、段々と穏やかな表情となり、俺へ向かって、深く一礼した。


バジルさんは俺とジョルジエット様、アメリー様との経緯、そして婚約、結婚に至るであろう事を認識しているから。


それを踏まえた上で、可愛い妹が、一夫多妻制に基づいた俺の妻になる事を承知してくれた。


シルヴェーヌさんが、俺と結婚したい!と強く意思表示した事も

バジルさんの了解を後押ししたと思う。


実は、シャルロットさん、トリッシュさんも俺と結ばれ、

ラスボス?たる、王女ルクレツィア様まで加わると知ったら、

バジルさんは驚愕してしまうかもしれないが。


それまでには、各所へ情報開示確認の上、ちゃんと話そうとは思う。


バジルさんは、柔らかな慈愛の眼差しで妹へ呼びかける。

兄としてではなく、今は亡き父の代わりとして。


「シルヴェーヌ」


「はい、お兄様」


「幸せになれ」


「はい! 幸せになります! 私はロイク様と愛し愛され、支えて合っていきます」


「そうか! ロイク様の妻として、しっかりと添い遂げよ。頑張るのだぞ!」


「はい! 頑張ります!」


そんなこんなで、会話を終え、バジルさんには理由を話し、かん口令をしき、

グレゴワール様他には内緒にして貰った。


話が終わり、俺達3人は、訓練中の騎士達のもとへ。


訓練に戻り、ストレッチ、ランニングを経て、剣の素振り、模擬戦へ。


すると騎士達は、


「ロイク様、稽古をつけてください!」

「相手をしてください!」

「英雄と剣を交えたい!」


と、対戦を希望し、50人全員が殺到。


「こらこらこら、お前達、ロイク様にご迷惑だろう」


その様子を見たバジルさんは呆れ、たしなめるが、


「先日ここで行った、5ポイント先取制の雷撃剣使用の模擬戦なら、50人全員いけます。相手をしましょう」


と俺はOKした。


「ロイク様、大丈夫ですか?」


「はい、おこがましい言い方で申し訳ありませんが、修行だと思ってやってみます」


という事で、模擬戦開始!


さあ!

50人抜き、行ってみよう。


フィールド中央で、相手と対峙する俺。


最初の相手はむきになっていたあの少年騎士。

深く一礼。

さすがに低姿勢で謙虚になってる。


「ロ、ロイク様、お、お願いしまっす!」


「ああ、ばっちこ~い」


「う~っす! い、行きま~っす!」


という運動部のりで、向かって来る少年騎士。


でも!

やはり少年騎士の動きは超が付くスロー。

動きがゆっくりのコマ送りに見える。


どご! どご! どご! どご! どご!


ぐ! が! ぎ! ご! げ!


突きを5連発!

充分に手加減をした上で、的確にHIT!!


少年騎士の小さな悲鳴も交錯する。


ぱぱぱぱぱ!


と、スコアボードの魔導水晶があっという間に全て点灯!!


試合開始から、8秒経たないうちに、俺は少年騎士を『瞬殺』していた。


「よし! 次! かかってこいや!」


「ういっす!」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


……何という事はなかった。

公爵家邸における最初の模擬試合の時から、俺は更にレベルアップしている。


入れ替わりの時間も含め、たった20分ほどで、

俺は50人の騎士全員に勝利してしまった。

バジルさんには、ほんの少しだけ手間取ったが、

それでも15秒かからずに倒している。


そんな模擬試合が終わった時間は午前5時少し前、

ここでジョルジエット様、アメリー様、

そして、シャルロットさん、トリッシュさんもやって来た。


「おはようございます!」

「おはようございまあす!」


4人は、シルヴェーヌさんに教授して貰い、護身術を学ぶのだ。


俺の嫁になる女子は皆、革鎧姿。

シルヴェーヌさんを始め、全員がひどく凛々しく見え、どきどきする。


「ロイク様、では、ジョルジエット様達と、『例の件』 お話しして来ますね」


「ああ、宜しく。かん口令の件、念押ししてくれよな」


「はい、まずは女子だけで話します。もしも何かあったら、すぐにフォローお願いします♡」


「了解。呼んでくれれば、すぐ助けに行くよ」


「うふふふ♡ 頼もしいですわ、ロイク様。ありがとうございます!」


俺が返事をすると、シルヴェーヌさんは花が咲いたように笑い、

ジョルジエット様達を連れ、少し離れた場所へ……


まもなく、シルヴェーヌさんを中心とした女子の輪の中から、


「「わあああああっ」」


という、可愛い歓声が聞こえて来たのである。

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