第152話「え? 途中から別メニュー? どういう事?」

さあて! 

俺はリヴァロル公爵家の別棟へ引っ越しをして、仕事をする環境は整った。


心配していた内部の人間関係も、グレゴワール様の深謀遠慮で、

どうにかなりそうだ。


となれば、最初に立てた1週間の勤務スケジュールを基にして、

1週間は勿論、1日単位の生活ペースを作る。


考えた俺は、まず週間&1日の仮スケジュール『叩き台』を作る事にした。


1日思うように過ごして見て、何かあれば秘書を含め、

周囲から注意、意見して貰い修正していくのだ。


果たして上手く回るのだろうか。

何せ、今まで一緒に暮らした事のない者達が暮らすのだ。

試行錯誤する事もあるに違いない。


そして、作った生活ペースに慣れて来たら、

王国執行官、そして冒険者ギルドとルナール商会の顧問として地道に業務をこなし、

様々な実績を作って行く。


実績が出来れば、外部との信頼関係も構築されて行くとなる。


また、早いうちに、王国執行官としてのお披露目をする必要もある。

こちらは俺にアイディアはあるが、詰めて具体化する必要がある。

……という感じか。


考えれば考えるほど、やる事は山積みだ。

しかし、焦りは禁物である。


さてさて!

約1時間で、週間&1日スケジュールの『叩き台』が完成。

俺は、秘書3人に全員集合をかけた。


俺は『魔導呼び鈴』でトリッシュさんを呼び、

各自へ、俺の書斎へ来るよう伝えて貰う。


全員の呼び鈴を、俺が次々と押しても良いのだが、

少しでもコミュニケーションをとって貰う。


出勤予定は来週から。

なので、全員がこの別棟の私室に居る。


3分かからず……

俺の下へ秘書3人が集合し、着席。


シルヴェーヌさんが言う。


「ロイク様、皆さん。今日は、トリッシュさんが対応しましたが、毎日のお使い番、秘書3人で順番に持ち回り制にするのが良いと思います」


対して、シャルロットさん、トリッシュさんは、


「良いと思います」

「異議なし!」


と笑顔で賛成。


うん!

良い感じだ。

このように、相談しながら決めて行こう。


当然、俺も文句なしに賛成。


「俺も賛成だ。じゃあ、スケジュールと付け合わせして相談し、決め、報告してくれ」


「「「はいっ!」」」


「よし! 早速だが、週間&1日スケジュールの『叩き台』を作った。これを基に調整し、1日、1週間を過ごしてみよう」


俺はテーブルの上に、作成した週間&1日スケジュールの、

『叩き台』を広げたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


俺が作成した週間&1日スケジュールの『叩き台』は、下記の通りだ。


4:00AM――起床


4:30AM――騎士とともに、朝の訓練※秘書は任意


7:00AM――朝食    


8:00AM~9:00AM――朝の合同連絡会議


10:00AM――各自出勤


0:00PM――昼食


1:00PM――5:00PM――退勤


5:30PM――帰宅


7:00PM――夕食


8:00PM~9:00PM――夜の合同連絡会議※延長の場合あり。


その後、就寝まで自由時間。


10:30PM――就寝


週間勤務スケジュール


勤務日は月曜日から木曜日の4日間。

金土日は基本休みの週休3日制。


ロイク・アルシェは月曜日、火曜日は王宮の宰相執務室で王国執務官の事務仕事他、

水曜日の午前は冒険者ギルドで顧問の事務仕事他、午後はこのルナール商会へ出勤し、打合せ他。

木曜日は予備日。


秘書は特別な指示がない限り、

月から木は、10:00AM――5:00PMまで、担当先へ出勤し勤務の事。


全員が、真剣にスケジュール表を見て、チェックしている。


気になる1か所を除いて問題ないスケジュールだと思う。


その気になる1か所とは……やはり起床時間であろう。


トレーニングとコミュニケーションを兼ね、

俺は騎士達の朝の訓練に参加する事を決めている。


ただ、秘書へ強要するつもりはない。

なので『任意』としたのだ。


ここで「はい!」と手を挙げたのは、またもシルヴェーヌさんだ。


「ロイク様」


「何だい?」


「あのお……朝の訓練なのですが……」


え?

元女子騎士のシルヴェーヌさんが、何か物申すとか思わなかった。


一体、何を言うのだろう?


「日々の運動不足解消と、改めて訓練をする為もあり、私は時間通り参加しますが……途中から別メニューにしたいと思います」


え?

途中から別メニュー?

どういう事?


「???」 


「実は、ジョルジエット様、アメリー様からも、訓練への参加をお願いされていまして、ただ、そのまま騎士とともに訓練させるわけにはいきません。なのでおふたり向けに、午前 5時から、女性向けの護身術をお教えする約束を致しました」


午前5時から、ジョルジエット様、アメリー様へ、女性向けの護身術を教える!?


「ですから、もしも宜しければ、シャルロットさん、トリッシュさんもご一緒に、護身術をやってみませんか?」


そんな先輩秘書のお誘いに、


「わあ! 面白そうです! ぜひぜひっ!」

「いざとなれば、自分の身は自分で守らなくてはいけませんものねっ!」


後輩のふたりは大盛り上がり。

即座に、朝の訓練への参加を決めたのである。

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