第108話「俺は幼い子供のように夢中となった」

瞬殺!


とまではいかなかったが、俺は30分かからずに、

現れたオーガ100体を倒した。


『うむ、よくやった!』


と、相変わらず上から目線の魔獣ケルベロス。


その瞬間。


ぱららら、ぱっぱ~!!


ファンファーレが鳴り渡り、心の内なる声が、

レベルのアップ、各パラメータのアップを告げてくれた。


例によって、全てを記載しないが、こんな感じである。


〇名前:ロイク・アルシェ


〇種族:人間族


〇性別:男子


〇年齢:16歳


〇LV:レベル:14⇒15


〇属性:プラス地、水、火全属性魔法使用者オールラウンダー


〇職業:元農民⇒元店員⇒元プー⇒冒険者ランクB、ランカー


〇STR:ストレングス:7,800⇒8,000


〇DEX:デクステリティー:10,000《MAX》


〇VIT:バイタリティー:10,000《MAX》


HPは、5,500⇒5,800


〇AGI:アジリティ:10,000《MAX》


〇INT:インテリジェンス:5,200⇒5,300


〇MND:マインド:5,800⇒6,000


MPは、5,100⇒5,300


〇LUK:ラッキー:10,000《MAX》


〇CHA:カリスマ:5,300⇒5,400


この依頼を遂行するにあたり、たてた目的のひとつ『ランクアップ』を果たした。

各パラメータも『微増』ながら上がった。


しかしオーガ100体を倒してもたったのワンランクアップかあ。

ちょっち、がっかり。


ま、先は長い。

焦らず地道にやって行こう。

この世界の俺はまだ16歳、青春真っただ中! だもんね。


よし!

オーガどもを倒したら、「しばらくゆっくり出来る」

だから、この隙に、採集、発掘の作業を行おう。


え?

「しばらくゆっくり出来る」とか、どうして、分かるのかって?


答えは簡単!


俺は、前世ケン・アキヤマ、つまりアラン・モーリアとして、

何度もこのトレゾール公地へ、依頼遂行の為やって来ている。


その際、何度も経験しているから。


このトレゾール公地は、「湧き出て来た魔物を全て倒す」と、

クリアー特典として、『賢者タイム』……じゃなかった! 

1時間、3時間、5時間、3パターンの『インターバル』が設けられていると。


ま、どれくらいのインターバル時間になるのは、

完全にイレギュラーで運なんだけどさ。


『ケルベロス、周囲を見張っていてくれ。採集、採掘するからさ! とりあえず時間は45分だ!』


『うむ、了解だ』


という事で、早速河原へ。


「うわ! 凄いや!」


河原には……

ぱっと見ただけで、肉眼ではっきり視認出来る鉱石がたくさんある。


こぶし大の砂金というか金塊がごろごろ。


王都ネシュラで購入した木製根堀り鍬に、

側面に一定間隔でくぼみの入ったパンニング用の皿は使わなくて済みそうである。


補足しよう。

パンニングとは、パンニング皿の中に土砂を水を入れて振ると、

土砂は液状化現象でドロドロになり、比重が大きい砂金は底へと沈んで行く。


砂金が沈んだのを見計らい、上の土砂を洗い流す。

これを何度も繰り返す事で、最終的に砂金を取り出すことが出来る。


さてさて!


俺は更に河原を探索する。


おお!

ごろごろ転がっている金塊以外にも、様々な宝石の原石がいっぱいだ!


ガーネットがある!

結晶化したものが目立つなあ。


そしてトパーズもある!

貴重だとされる淡いピンクや、

オレンジのインペリアルトパーズも見受けられた。


更に更に! 深緑の半透明な宝石だが、原石は白っぽいヒスイ。

石英も含め、水晶は最も多い。


まずは、ひと目で分かる大きな砂金というか、金塊を最初に採取。

ギルドで渡された『金』採集専用の袋がすぐにいっぱいとなる。


ちなみに、金、宝石それぞれ、この専用の袋に入れて封をしないと、

トレゾール公地の正門が開かず、帰還出来ない仕組みとなっている。


そして正門が開いた瞬間、ギルドの所属登録証へ、

袋内に採集、採掘した鉱石の詳細が記載される。


またこの袋の封は無理やり破いたりすると、ペナルティを報せる魔力が放出され、

所属登録証に記載される。


この公地の防犯対策はここまで徹底されている。


そもそも、この依頼は審査が厳しい。

ランクB以上のメンバーに限定され、

誰にでも受諾出来るものではない。


またこの公地における窃盗は、特に重罪となる。

ギルドの永久追放どころか、犯行内容によっては、極刑の場合もゼロではない。


反面、正当に申請し、依頼を完遂すればランクアップのポイントは倍となる。


そこまでのリスクをおかしてまで、

鉱石をちょろまかそうとする奴はほぼ居ないのだ。


そんなこんなでガーネット、トパーズもたくさんゲット。

更にヒスイ、水晶の順に採取し、宝石用の袋へ収納して行った。


金、宝石採取、それも「拾って取り放題!」という状況に……

俺は幼い子供のように夢中となったのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る