第22話「ここからが本番」

未登録だった俺は『ランカー』となり、

いきなり上級冒険者の仲間入りをしてしまった。


こうなると、エヴラールさんもクロエさんも、俺のスペックが気になるらしい。

まあ、これは至極当然といえよう。


クロエさんが、尋ねて来る。

何を聞くのか、知っている。


冒険者登録の際の『事前確認』というやつだ。


「ロイク様、ではランクBとして登録致します」


「お願い致します」


「心の扉を開きますか?」


「もちろんです!」


「念の為、登録の際、冒険者ギルドとして、所属冒険者の管理統括という前提から、お持ちの現スペックがオープンになりますが、構いませんか?」


「全然OKです!」


クロエさんから尋ねられ、OKした俺は「心の扉を開く」検査祭儀室へ向かった。


ランクBのランカーに判定された事は、全くの想定外。

良くてCだと思っていたから、驚いた事に加え、素直に嬉しい。


でも、ここからが本番。


更に確信している『想定』の事実がはっきりすれば、万々歳なのである。


今後の俺の生き方が……

将来が決まると言っても、過言ではない。


「心の扉を開く」作業をするのは、ギルド専属の魔法使いさんだ。


そもそも「スペック確認」及び「心の扉を開く」魔法自体は、

商品の真贋、価値を見極める、『鑑定魔法』の一種である。


つまり、べたに言えば、『鑑定魔法』を行使し、『人間の価値』を鑑定するのだ。

それがひいては、人間のステータス確認というロジックらしい。


ちなみに、創世神教会の方法は違っていて、純粋に読心的な魔法を使う。

しかし、何でも心が読めるというわけでなく、スペックのみだそうだ。

本当かどうかは分からない。


さてさて!

検査祭儀室へ到着。

水晶を加工して平面にした魔導モニターと、

椅子がふたつ置かれただけの殺風景な部屋だ。


俺を「鑑定する」魔法使いさんは、可愛い20代前半の女子である。

少し天然いやし系という感じのほんわかタイプ。


「ロイク・アルシェです。宜しくお願いします」


「うふふ、こちらこそぉ、宜しくお願い致しまあす」


あいさつが終わると、

サブマスターのエヴラールさん、秘書のクロエさんは、退室。

ガラス越しの別室で、大型魔導モニターを見ながら、待機する。


方法は簡単である。


魔法使い女子さんが、俺へ、ダイレクトに鑑定魔法を発動。

鑑定魔法の魔力に俺が包まれる。


しばし経ち、魔力が心身へ行き渡ってから、

水晶を加工して平面にした魔導モニターに、俺が触れる。


すると、検査祭儀室魔導モニターと、

エヴラールさん、クロエさんが待機する別室の魔導モニターに、

俺の『スペック』が表れるのだ。


それらの魔導モニターから、冒険者ギルド総本部の魔導記録機に転送、

ストックされ、一括管理されるという仕組みである。


「魔力が、ロイク様の体内へ行き渡りましたあ。続いて、オプションの心の扉も開けまあす!」


「…………………」


「ロイク様あ、モニターを直接、触ってくださあい」


魔法使い女子の指示に従い、俺はそっと、水晶製魔導モニターを触った。


するとモニター画面に、文字が浮かび上がって来たのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


皆様、常識だ、もしくは違う!と思われる部分もあるかもしれない。


しかしRPG『ステディ・リインカネーション』の設定という事で、

ご容赦して頂き、スペックの説明をしよう。


俺自身へ対して、復習の意味もある。


数値対比が分かりやすいよう、

平民素人10代男子、一流冒険者、

そして、『ステディ・リインカネーション』をプレイした俺が、

己のアバター、アラン・モーリアを設定した際の『初期設定数字』も入れる。


ちなみに、各MAX数値は、先述の通り10,000となる。


〇STR:ストレングス


力強さ。


『ステディ・リインカネーション』の場合、

体力、筋力、物理攻撃の攻撃力に影響する。

気力や精神力もカバーする。


STR値が低いと、重い武器を上手く扱う事が不可能であり、

鋼鉄製のよろいたてなど、重装備が不可能な場合もある。

また所有可能なアイテム等の総重量に影響する。


平民素人10代男子30~200、一流冒険者2,500~8,000、


そして、『初期設定数字』数字6,000

※スペシャルボーナスポイント使用。


〇DEX:デクステリティー


手先の器用さ。

行動の機敏さ。


『ステディ・リインカネーション』の場合、主に命中力を表す。

命中力が高いと、攻撃が当たりやすくなり、

クリティカル頻度に影響する事もある。


また魔法、スキルの習得度、上達度も後押しする。


平民素人10代男子30~200、一流冒険者3,500~8,000、


そして、『初期設定数字』数字10,000《MAX》

※スペシャルボーナスポイント使用。


〇VIT:バイタリティー


生命力。

活力。

体力。

成長力。


丈夫さ、持久力を表し、物理攻撃全般の防御力を形成する

防御力のみでなく、最大HPの増加効果となっている場合もある。


平民素人10代男子30~200、一流冒険者3,500~8,000、


そして、『初期設定数字』数字10,000《MAX》

※スペシャルボーナスポイント使用。

当時設定されたHPは、4,000であった。


〇AGI:アジリティ


機敏さ。

素早さ。


DEXと連動し、回避能力に大きな影響を及ぼす。


身体運動能力に影響する。


平民素人10代男子30~200、一流冒険者3,500~7,000、


そして、『初期設定数字』数字10,000《MAX》

※スペシャルボーナスポイント使用。


〇INT:インテリジェンス


知力。

賢さ。


『ステディ・リインカネーション』の場合、魔法力に直結し、

体内魔力量、魔法攻撃力に影響する。


平民素人10代男子5~200、一流冒険者3,500~7,000、


そして、『初期設定数字』数字4,000

※スペシャルボーナスポイント使用。


〇MND:マインド


精神力。


『ステディ・リインカネーション』の場合、魔法力に直結し、

魔法防御力、回復魔法、補助魔法の強さに影響する。


平民素人10代男子30~200、一流冒険者3,500~7,000、

そして、『初期設定数字』数字4,000

※スペシャルボーナスポイント使用。 


INT、MND合わせて、当時設定されたMPは、4,000であった。


〇LUK:ラッキー


運。


特定の職業が特異的な高さを持つ場合がある。


『ステディ・リインカネーション』の場合、

クリティカルヒット率上昇、ドロップアイテム拾得率アップ、

生産率アップなどへ影響する。


また、生存率上昇、敵との遭遇率低下、敵の攻撃率低下につながる。


平民素人10代男子30~200、一流冒険者3,500~7,000、

そして、『初期設定数字』数字10,000《MAX》

※スペシャルボーナスポイント使用。 


〇CHA:カリスマ


カリスマ。

一般大衆を魅了するような資質や技能。

『ステディ・リインカネーション』の場合、

イベント成功の可否にかかわる場合あり。


特定の職業において、攻撃力に置き換わる場合もある。


平民素人10代男子30~200、一流冒険者3,500~7,000、

そして、『初期設定数字』数字2,000

※スペシャルボーナスポイント使用。 


こんなものか……


さあて。

スペックの復習は終わった。


これまでの経緯、経験で確信を持った、

現時点での俺のスペックを改めて確認しよう。


俺は改めて、モニター画面を見たのである。

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