Dear アダム

隣のみみみーる

第1話 プロローグ

ー2XXX年。

地球に死期が迫っていた。

 大雨、洪水、地震、火山の噴火…相次ぐ異常気象により荒廃していった土地。生存を脅かされた人類が取る行動は一つだった。

 

 第三次世界大戦。

アンドロイド兵、ドローン爆撃機、核ミサイル…ありとあらゆる兵器が投入された代理戦争。

川辺で憩う動物から草木で眠る虫まで焼き、機械の残骸が海岸を埋め尽くした。


 そして月と火星にプラントを移動させていた先進国を中心に、強大な軍事力による粛清と、を発表することで戦争は終結へと向かった。


『火星移住計画』

死が迫る地球を離れ、自分達はさっさと新しい星へー…。

人間で言うところの介護放棄に近い。今まで散々愛を享受してきた癖に、いざ重荷になれば呆気なく見捨ててしまうのだから。

全くー「母なる大地、母なる地球」とはよく言ったものだ。


そしてこの冷酷無情の計画は、随分前から準備されていたのだろう。

王族、政治家、大企業の社長ー…。所謂いわゆるゴールドチケットを持つ者達を優先的に、次々と移住していった。


優先順位の低い、貧民、犯罪者、老人、子ども、病人は国ごとに一つの場所にまとめられ、各地にアンドロイドや機械が投入された。

この措置には2つの役割があった。


1.残された人間のケアと称した監視


そしてー


2.地球の介護


捨てたとはいえ、人類は僅かな希望を抱いていた。

地球にはまだ利用価値があるとー。


少しでも長く搾取するいきさせる延命措置。

人間が足を踏み入れる事の出来ないひび割れた荒地でも、放射能が降り注ぐ死地であろうと、機械には関係ない。

病に侵される心配もなければ、危険地帯で壊れたとしても

代わりはいくらでもいる。


その過程でアンドロイドは

より屈強に壊れにくく、より賢く

より人間に寄り添い、より人間に近く


ついに見た目だけの差では人間とアンドロイドの区別がつかなくなってきた頃


よりコミュニケーションを図る目的で「人間と機械の共存」をテーマに、希未きみ町という人工の町が造られた。



そこに彼ー…。志野しの一真かずまはいた。

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