【 第4話: ちんちこちん? 】


「さあ、皆、グラスを持って乾杯だ!」


 何人かの召使いたちが、順番に参加者のワイングラスに、赤いワインらしきものを注いでいた。

 そして、俺たちのところにも召使いがやってきて、大きなボトルからその赤い液体をグラスに注いだ。


 んっ? 何やら違和感が……。


「(ワインにしては、少し粘り気があるな……。何でだ……?)」


「さあ、行き渡ったようなので、乾杯しよう!」

『かんぱーーい!!(かんぱーーい!!)」


 俺はその赤ワインらしきものを飲むために、グラスに鼻を近づけた。


「(んっ? な、何だ……。この少し鉄のような生臭いにおいは……? こんなワインあるのか……?)」


 俺は、皆が飲んでいるのを見て、俺だけ飲まないわけにはいかなった……。

 思い切って、鼻をつまんで、ゴクリと飲んでみる……。


『ゴクッ……』


「!?……。うげげげげげげぇーーーーっ!! な、何だこれはぁーーーーっ!!」


 すると、ミャーが心配そうに俺にこう言ってきた。


「タロー? ひょっとして、A型の血、口に合わなかったにゃ……? B型の血に変えるにゃ?」

「はぁ? A型の血ーーーーっ!! うげげげげげげぇ~~っ……」


「ねぇ、グリフ! どうもタローは冷たいのは苦手みたいだから、熱いのに変えて差し上げてにゃ!」

「はい。熱い血でございます。タロー様!」


 グリフは、そう言うと、半ば強引に俺の口にその熱い血液を流し込んだ……。


「うわちちちちちーーーーっ!! これ、『』だがや!!」


「タ、タロー……、ち、『ちんちん』だにゃんて……」


「おみゃー、こんな『』の血液なんか飲めせんわーーーーっ!!」

「ち、『ちんちこちん』……にゃ……?」


「タロー様……、そのお言葉は、まだ姫には、刺激がお強いかと存知ます……」


「たーけっ!!(ばかやろう!) 『ちんちん』は名古屋弁で、標準語の『熱い』の意味!! そんで、『ちんちこちん』は『熱い』の最上級の意味だがや!! 勘ちぎゃーしとったら、だちかんぞ!!(勘違いしていたら、いけないよ)」


 俺は、この熱い血液の飲み物に、思わず名古屋弁丸出しでしゃべっていた……。


 『ちんちこちん……』(名古屋弁で熱いの最上級の意)


 この言葉を、ニヤ国の人々が理解できる訳もなく、勘違いされても仕方なかったなと、今更ながらに思う俺だった……。



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