【 第9話: ニヤ国へようこそ 】


「ミャー様がお帰りになったぞーっ! みんな扉を開けろーっ!」

『ギギギギギギ……、バタンッ!!』


 すると、城の中に入るための木でできた大きな扉が開かれた。


『パッカ、パッカ、パッカ……』

「(お帰りなさいませーっ! ミャー様!)」

「みんなありがとにゃ。出迎えてくれて♪」


 馬に乗って入ってきた俺たちは、大勢のお城で働いていると思われる人たちの歓迎を受けている。


「さあ、ミャー姫、お父様のところへ」

「ありがとにゃ、グリフ。タローも一緒に来て欲しいにゃ」

「あ、ああ……」


 俺は呆気あっけに取られていた。

 この猫ニャンニャンコスプレ娘が、この国のお姫様だとは、全く想像できなかったからだ……。


 衛兵が両側に立つ、綺麗な石でできた階段を上り、いざお城へ入ってみると、そこはやはり外観にも劣らない、和洋中のフルコース並みの豪華な内装だった。

 床は代理石だろうか、下には赤い絨毯じゅうたんがあるが、横の壁には、中国のお城で見たような中華風の明かりがあり、天井は高いが、どことなく名古屋城の本丸御殿ほんまるごてんにあるような綺麗な格子の装飾が施されている。


 そして、更に扉を開けて、奥の部屋へと進んで行くと、その先にこの国の王様らしき人物が、正面の奥の無駄に背もたれの大きな椅子にドンと座っていた。

 両端には、家来けらいと思われるやつらが立っている。


 その王らしきやつは、髪が白金色に近いロングへヤー、白く長いひげをたくわえ、目はやさしそうな目玉の全く見えない一本線。

 頭には奇妙なかぼちゃのような王冠を被り、手には何やらアニメで見たことのあるような魔法のステッキらしきものが……。

 横によく見るフワフワした白い柔らかそうな毛が付いている大きな紫色をしたガウンみたいなものを身にまとい、足元はよくある魔法使いのような無駄にとがった靴を履いていた。


「(こ、こいつが、この国の王なのか……?)」


「お父様、ただいま戻ったにゃ♪」

「おお~、ミャーよ。よく無事に戻ってきたな。グリフもご苦労じゃった。ありがとう」

「はい。ダガヤ様」


「(んっ? ダ、ダガヤ……? どっかで聞いたことのあるイントネーション……?)」


「おお、君か。ミャーのフィアンセだという『タロー王子おうじ』というのは」

「そうだにゃ♪ ミャーのフィアンセのタローだにゃ♪」


「な、な、な……」


 俺は三歩後ろへたじろいだ……。


「名古屋国の『タロー王子」よ! ようこそ、わが『ニヤ国』へ!!」



「は、は、はぁーーーーーーーーっ!?」



 こいつら、絶対にイカれてる……。




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