第296話 破竹の勢い

「もういい。とにかく、オリョウを探せないならどうしたらいいんだよ」


「打ち上げがあると言ったじゃないですか。そのときにオリョウさんは姿を現すはずです。性別転換のうえ奴隷化させるなんて高度過ぎ魔法、いくら術式を刻んでいるとはいっても、分身や遠隔ではまず行えませんし、発動にはなんらかの条件が必要な場合もありますので」


「つまりオリョウが現れてから、呪術をかけられる前に気絶させろと」


「はい。オリョウさんは紛れもない強者ですが、現在は多くの呪いをかけている状態です。集中力はかなり削がれているはずですから、そこを奇襲すればチャンスは十分にあるかと」


「なるほど。でも裏を返せば、チャンスは一回きりだと考えるべきだってことだな」


「はい。そして、この大会では好成績を残した方がいいでしょうね。可能性の話ですが、主催者って優勝者に直接トロフィーとかを渡すものでしょう」


「無条件でオリョウに近づける可能性が高いってことか」


「その通りです。別に誠道さんのせいで負けた分を取り返したいから、絶対に勝てよと脅しているわけではありませんからね。対戦相手より誠道さんのオッズの方が常に高くなるはずだからこそ勝ってほしい、なんて思っていませんからね」


「うん。……まあ、頑張るよ」


 ミライの目がお金になっているのは気のせいだと思うことにする。


 でも本当に、オリョウに無条件で近づける可能性があって、なおかつ借金返済の資金も稼ぐことができるなら、勝ち進むに越したことはない。


 よっしゃ。


 意図的に負けなきゃいけないって展開のときよりも、なんかやる気が湧いてきたぞ!


 その後、俺は破竹の勢いで勝ち上がり、この去勢大会で見事優勝することができた。


 これでミライもさぞ儲かっただろう、と思ったら、なぜか俺以外の試合にもベッドしており、俺以外の試合は完膚なきまでに負けていた。


 結果はプラマイゼロ。


 はぁ。


 逆に才能じゃない?


 俺が試合に出ているという、八百長まがいの試合でしか勝てないなんて。


 ギャンブルの才能がないという才能って珍しいよ。


 あと、聖ちゃんはミライ常にミライがかけたのと逆の方にかけつづけていたので、かなり儲かったそうです。

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